九州支部の活動

福岡の全テレビ局が「災害報道」を論議!
(2018.11.8)

九州支部が「市民と考えるこれからの災害報道」シンポに参画し、報告を行う!

 日本損害保険協会九州支部(委員長:大久 孝一・損害保険ジャパン日本興亜株式会社 専務執行役員・九州本部長)は、九州災害情報(報道)研究会の活動に参画しており、同研究会が11月3日(土)に福岡ビル大ホールで開催したシンポジウム「市民と考えるこれからの災害報道〜激甚化する自然災害から命を守るには〜」をサポートするとともに、災害に係る損害保険による補償について報告を行いました。
 九州災害情報(報道)研究会は、九州地方の防災・減災に資することを目的として、迅速な災害情報の提供あるいは自然災害への防災対策の周知等を通じて、災害への理解促進を図り、災害時の避難行動につなげる取組みを推進する研究機関・防災機関・九州管内の報道機関のメンバーによって構成されています。
 シンポジウムでは、研究会幹事の田中 俊憲氏(FBS福岡放送報道ディレクター)から、研究会発足から今日までの活動報告があった後、基調講演「激甚化する自然災害と命を守る災害情報」では弟子丸 卓也氏(気象庁・福岡管区気象台長)から、「昨今の気象変動により、集中豪雨が増加傾向にある。防災気象情報は時間を追って段階的に発表されるが、直前になればなるほど、精緻な予測ができる。」との発表がありました。
 続いて第一部のテレビ各局の気象予報士によるパネル討論では、次の発言がありました(抜粋)。

  • 吉竹顕彰氏
    (NHK)

    自然の変化に加えて、人の生活スタイルの変化(都市化)により、昨今の自然災害が起きたのではないかと思っている。また、気象庁が発する情報を踏まえて、自分の判断で、リアルタイムに避難情報を発信しなければいけないと思う。

  • 龍山康朗氏
    (RKB毎日放送)

    自然災害は感覚的には増えていると思うが、今は全国の情報が瞬時にわかり、観測データが昔より精緻になったことがその原因かもしれず、本当に増えているのかという疑問も残る。また、テレビ画面の文字が小さくて高齢者には特に見づらい時があるから、もう少し大きくしたほうが良い。例えば、ハザードマップは、情報をシンプルにして、地区ごとの拡大版などが必要ではないか。

  • 佐藤栄作氏
    (KBC九州朝日放送)

    各局は凄い映像を競って出すため、避難地域の人もテレビを見てしまう。だから、避難地域の人に対しては、逃げるような行動に移すような報道ができないか。また、国などへの要望であるが、情報が多すぎて、視聴者にとって本当に役に立っているのか疑問。もっとシンプルに伝える工夫をしなければ伝わらないと思う。

  • 米倉絵美氏
    (FBS福岡放送)

    避難所の居心地がもう少し良くならないだろうか。避難情報が空振りだったら、「よかったね」と言い合えるような環境になるとよいのではないか。みんなで集まって災害が通り過ぎるのを待つ習慣が広まるとよいのではないか。もう少し、心理的に避難し易い雰囲気になるとよいと思う。

  • 益山美保氏
    (TNCテレビ西日本)

    先ず伝える側が、危機感を伝えることが大事。局内においても、特別放送をするためには、気象予報士が局内で交渉してやっと番組を中断して、放送できる。だからもう少し、わかりやすく伝える工夫をしていかなければいけないと思う。


 コーディネーターの持留英樹氏(KBC九州朝日放送報道部編集長)からは、まとめとして、「地球温暖化は何らか影響があると思うのが、皆さんの意見として一致していた。また、テクノロジーの進化で体感的に激甚化を感じることが増えている。」との発言がありました。

 第二部では「命を守る災害報道とは」と題して、災害情報の出し手である各機関の代表者と視聴者に伝える立場の各局キャスターによるパネルディスカッションが行われ、各パネリストから以下の発言がありました(抜粋)。

  • 藤巻浩之氏
    (国土交通省・九州地方整備局企画部長)

    一番恐れているのは、情報が無い地域である。テレビで被害がすごい地域があると、整備局としてもかじりついてしまい、そこへの支援に集中してしまう。

  • 千葉剛輝氏
    (気象庁・福岡管区気象台気象防災部長)

    報道機関には、危険な地域に住んでいるんだよということを住民に向けて伝える工夫をしてほしい。

  • 奥園秀史氏
    (福岡県総務部防災危機管理局長)

    県から出す情報は、固い言葉を使っており、またインターネット等を使える媒体を持っていない方も多くいるため、本当に住民に伝わっているのかわかっていない。だから、マスコミには、わかりやすく広く伝えてほしいとお願いしたい。

  • 入江さやか氏
    (NHK放送文化研究所上級研究員)

    被災者から次の個別意見があったので紹介したい。「浸水や渋滞で移動が困難。通行可能な道路情報が欲しい。」「雨雲のレーダー画像をもっと見たかった。」「視聴者の投稿動画で、早急に対応が取れた。」

  • 坂田周大氏
    (RKB毎日放送キャスター)

    映像は、状況が切迫しているという意識付けには確実に役立っているが、我が事として視聴者に感じてもらわないと逃げてくれないことが問題だ。

  • 若林麻衣子氏
    (FBS福岡放送キャスター)

    伝わるアナウンスをどのようにすべきかということを、系列局で考えている。「今なら逃げられます、この後は避難できなくなる可能性があります」等、リアルな呼びかけを考えている。

  • 長岡大雅氏
    (KBC九州朝日放送キャスター)

    そもそも避難所を知らない人が多い。災害が起きたときに、自分がどう行動すればいいのかという知識を平時に備えておかなければいけない。

  • 山口喜久一郎氏
    (TNCテレビ西日本キャスター)

    メディアで映像データを共有できるようになれば、効率的に動けるようになるのではないか。

  • 山本圭介氏
    (TVQ九州放送キャスター)

    火事場のにおいを知っているキャスターは、火事の話を的確に伝えられる。今後も、現場主義を大切にしていきたい。

 コーディネーターの松尾一郎氏(東京大学大学院情報学環客員教授)からは、「山口キャスターからの提案があった映像データの共有について、行政の職員数を踏まえると、職員が各地で撮った映像をマスコミ間でも共有できる仕組みは実際にできるのではないか。」との発言がありました。


 この後、当協会九州支部の木舟事務局長から、
「災害と備えとしての損害保険」と題して、過去の地震・風水災の保険金支払状況や会員会社・行政による水害の備えに関する意識調査の結果の紹介などを行いました。
 九州支部では今後も防災・減災に資する取組みを行うとともに、関係機関と連携し、災害時の迅速な避難行動の必要性の啓発に取組んでいきます。