協会長ステートメント
会長 鈴木 久仁(2011.3.17)
1.はじめに
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私ども損害保険業界は、「社会の安定と経済の発展を支える」、「国民に安心と安全を提供する」という重要な使命を担っております。このような未曽有の『国難』に際し、被災地の復興と我が国の社会、経済の安定に向けて、業界の総力を結集し取り組んで参る覚悟でございます。
本日開催されました「日本損害保険協会 理事会」および「同 臨時社員総会」におきまして、今回の地震への対応について、全ての会員会社によって、別紙「各社における東日本巨大地震への対応について」のとおり確認いたしました。私ども、損害保険業界は、被災された方々からのご相談に親身に対応するとともに、迅速な保険金支払いに向けて、全力を尽くし取り組んで参る決意であることを表明いたします。
また、被災された方々の支援と被災地の復興のために、本日の理事会において、日本損害保険協会として支援物資をお届けし、義捐金を寄贈することを決定するとともに、会員各社における被災地支援の強化を確認いたしました。
冒頭申し上げましたとおり、今回の巨大地震により、広域に亘って甚大な被害が発生しており、これらの地域の地震保険契約件数等から、過去最大の保険金支払額となることが予想されます。
しかしながら、会員各社はいずれも、通常の保険金支払いに充当する責任準備金に加え、巨大災害に備えた異常危険準備金を積み立てております。また、今回の我が国の危機に際し、世界各国から心強い支援の申し出が相次いだように、損害保険の世界においても、各国が「再保険」という形態でグローバルにリスクを負担し、支えあう仕組みが存在しております。これらを反映し、支払い余力を示す指標であるソルベンシー・マージン比率も十分な水準が確保されております。
さらに、我が国の地震リスクは極めて巨大であり、民間保険会社だけでは引き受けることが困難であるため、政府が「再保険」により引き受けを行っております。従いまして、保険金のお支払いが滞るようなことはもとより、損害保険会社の健全性が損なわれることは、決してございません。どうか、ご安心いただきますようお願い申し上げます。
2.損害保険業界の対応
今回の巨大災害の発生を受け、会員各社においては、被災地における保険金支払い体制やお客様からの照会対応の強化に向け、損壊した現地事務所に代わる拠点の確保、応援要員の現地派遣、コールセンター要員の増員等の対策を、既に実施しております。
また、被災されたお客様に対する損害保険業界を横断した取り組みは、次のとおりであります。
(1)お問合せ・ご相談窓口の設置
日本損害保険協会内にご相談窓口を設置し、被災された方々やお客様からのお問合せに親身に対応して参ります。
【日本損害保険協会 そんがいほけん相談室】
フリーダイヤル:0120-107-808
携帯・PHSから:03-3255-1306
また、損害保険各社相談窓口の協力体制の構築も図って参ります。
(2)「地震保険中央対策本部」「地震保険現地対策本部」の設置
今回の地震に対し、業界をあげて万全の体制で対応すべく、日本損害保険協会本部に中央統轄機関として「地震保険中央対策本部」を、また、日本損害保険協会東北支部(仙台)に、現地における統轄機関として「地震保険現地対策本部」を設置いたしました。これにより会員各社と一層緊密に連携のうえ情報の一元化を図るとともに、保険金の迅速・公平・的確なお支払い等に向けた対応を円滑に行って参ります。
(3)共同調査体制の構築
今回の地震において被災されたお客様のご負担に最大限の配慮を行い、損保業界一丸となった保険金お支払い体制にて取り組みを進めております。会社を超えた調査体制を整えることにより可能な限り迅速に対応して参ります。
(4)特別措置
全ての会員会社が、継続契約の締結および保険料の払込について、お客様の罹災状況に応じた猶予期間の延長を行う等の特別措置を実施いたします。
3.おわりに
今回の地震は、我が国にとって、観測史上最大の巨大地震であり、政・官・財、そして全ての国民がそれぞれの役割を果たし、この大きな『国難』を乗り越えて行かなければならず、必ずやそれを成し遂げられると確信しております。
なぜならば、被災地の皆様を拝見するにつけ、我が国には、このような大災害の中であっても、冷静沈着に行動する規律正しさと我慢強さ、そして仕事に臨む勤勉さを併せ持つ人々が暮らしていることを改めて感じているからであります。
そして、これからの国難の克服に向けた取り組みにおいて、私は、日本損害保険協会会長として、「業界を挙げた被災地支援」の先頭に立つことを表明いたします。
最後に、被害に遭われた地域の一日も早い復興をお祈り申し上げるとともに、皆様方の一層のご支援をお願い申し上げます。
以上