【コラム】「賢い家計のリスクマネジメント」
(2016.3.24)


 当協会が「毎日新聞」に寄稿したコラム「賢い家計のリスクマネジメント」を「毎日新聞」の了解を得て紹介します。
 
 第7回のコラムは<地震保険で大震災に備える>がテーマです。

第7回 地震保険で大震災に備える (2016年3月24日掲載)

 東日本大震災から5年が経過しました。最近の研究で、日本は全国どこでも大地震が発生する可能性が指摘されています。命を守るために、住まいの耐震改修や家具の転倒防止対策を行うことはもちろん、被災後の生活のために、経済的に備えることも大切です。
 東日本大震災の際、被災した方の生活再建に役立ったのが地震保険です。地震保険は、地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・流失などによって、建物や家財に生じた損害を補償する保険で、震災発生後3か月で約1兆円の地震保険金が支払われました。
 例えば、住宅ローンを利用している場合、地震によって住まいや家財を失うと、住んでいた家のローンと新たな住居費や建て直しの費用で、二重の負担が生じます。また、マンションが被害を受けた場合、十分な修繕積立金がないと、修理費用や再建費用の負担が新たに生じ、各居住者の経済状況や価値観が様々な中で、合意形成を図るのが困難なケースがあります。地震保険に加入しておくことで、万一の際、より多くの資金を確保することができます。なお、専有部分は区分所有者が、共用部分は管理組合で地震保険に加入するのが一般的です。
 1966年に「地震保険に関する法律」が制定され、地震保険が誕生してから、今年で50年を迎えました。地震保険は政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。保険料には、損害保険会社の利益は含まれていません。地震保険は、これまでも、これからも、被災後の家族の生活を支える保険です。

第6回 保険選び 代理店に相談して (2015年12月30日掲載)

 損害保険を契約する際に最も重要なことは、自分が抱えるリスクを適切に補償する商品を選ぶことです。そのためには、契約時や更新時に契約内容をしっかりと確認することが大切です。補償内容や契約金額などを必要に応じて見直すことが、賢い家計のリスクマネジメントにつながります。
 損害保険を契約する際は、インターネット等を利用して損害保険会社と直接契約する場合と、「損害保険代理店」を通じて契約する場合があります。
 直接契約する場合は、インターネット上の情報等をしっかり確認し、適切な商品を自分で選ぶ必要があります。
 一方、代理店は、損害保険会社の代理人として契約を締結する権限を持っています。代理店に所属する「募集人」は、契約締結手続きのほか、契約の変更・解約手続き等も行います。
 日本損害保険協会では「損保一般試験」を実施し、損害保険商品等を適切に説明するための知識を習得しているかどうかを確認することで、募集人の資質の確保を図っています。
 さらに、高度な専門知識や実践的なスキルなどを習得するための仕組みとして、「損害保険大学課程」を実施しており、この課程の一つである「コンサルティングコース」を修了し、試験に合格すると募集人の最高峰の資格である「損害保険トータルプランナー」に認定されます。トータルプランナーがいる代理店は日本損害保険協会のホームページで検索できます。損害保険の契約や見直しについて、ぜひ相談してみてください。

第5回 自賠責保険だけで大丈夫? (2015年11月30日掲載)

 自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するために、全ての車とバイクに加入が義務づけられている保険です。ただし、自賠責保険に加入するだけでは、事故への備えが充分とはいえません。
 自賠責保険で保険金が支払われるのは、他人を死傷させるなどの人身事故で、損害賠償責任を負った場合に限られます。相手や自分の車の損害、自分のけがなどは補償の対象になりません。
 支払われる金額に上限があることにも注意が必要です。死亡の場合は3000万円、後遺障害は程度により75万円から4000万円、けがは120万円が限度額になります。
 運転に伴うリスクのうち、自賠責保険で補償されない損害をカバーするために、任意の自動車保険が必要になります。例えば、自賠責保険の限度額を超えた金額を補償する「対人賠償保険」や他人の車などの損害を補償する「対物賠償保険」、自分のけがなどを補償する「人身傷害保険」、自分の車の損害を補償する「車両保険」などさまざまです。各保険会社はこれらの保険をはじめ、いくつかの保険を組み合わせて任意の自動車保険を販売しています。
 過去には、人身事故で3億円、物損事故で2億円を超える賠償金の支払いを命じる判決が出ています。対人賠償保険や対物賠償保険については、保険金額を無制限に設定することをお勧めします。物損事故や自分のけが、高額な賠償金の支払いなどに備えるために、任意の自動車保険未加入の方はぜひ加入の検討を、既加入の方は補償内容が十分か確認をしてみてください。

第4回 自転車事故に備えるための保険は? (2015年10月29日掲載)

 自転車は、子どもでも乗ることができる身近な乗り物です。その一方で、自転車対歩行者あるいは自転車同士の事故で、他人を傷つけ、場合によっては命を奪ってしまうおそれもあります。自動車を運転するときと同様、自転車に乗る際は交通ルールやマナーを守り、事故を起こさないように心掛ける必要があります。
 また、自転車事故の加害者になった場合、被害者から高額な損害賠償金を請求されることがあります。損害賠償責任を負うリスクを十分に認識し、事故への備えを考えておくことも大切です。
 自転車事故による損害賠償責任の負担に備える損害保険として、個人賠償責任保険があります。火災保険や自動車保険などの特約として契約することが一般的で、自転車事故に限らず、日常生活で他人にケガをさせたり、他人のモノを壊したりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に、保険金が支払われます。
 個人賠償責任保険は、家族が起こした事故も、補償します。例えば、お父さんが個人賠償責任保険を契約していれば、一緒に住んでいる子どもの起こした事故について親が監督責任を問われた場合などもカバーできます。
 一方、自転車に乗る人自身のケガに備える保険として、傷害保険があります。さらに、個人賠償責任保険と傷害保険をセットにした「自転車向けの専用保険」もあります。
 自転車に乗る場合は、他人にケガをさせたことによって損害賠償責任を負うリスクと、自分自身がケガをするリスクの両方に備えておくと安心です。

第3回 地震保険で災害に備える (2015年9月30日掲載)

 地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・流失などによって、お住まいの建物や家財に生じた損害は、火災保険では補償されません。これらの損害に備えるには、地震保険が必要です。
 地震保険は、火災保険とセットで契約する必要があります。火災保険に加入する際に地震保険をセットしていない場合でも、契約の途中でセットすることができます。契約金額は、火災保険の契約金額の30%から50%の範囲で設定し、建物は5千万円、家財は1千万円が限度です。
 火災保険の契約金額の最大50%で設定するため、地震保険の保険金だけで建物を建て直すことはできませんが、保険金の使いみちには制限がないので、建物だけでなく家財も地震保険を契約しておけば、家財の保険金を家の建て直しや住宅ローンの返済などに充てることもできます。
 保険料は、建物の所在地と構造で決まります。建物の免震、耐震性能に応じた保険料割引制度があり、所定の書類を提出して条件に該当すれば、10%から50%の割引が受けられます。
 さらに、払い込んだ保険料がその年の契約者の所得から控除される「地震保険料控除制度」もあります。
 保険金は、シンプルな区分に基づく認定によって迅速に支払われます。東日本大震災のときは、震災後3か月で約1兆円の保険金が支払われました。
 地震保険は、被災後の生活再建資金として、重要な役割を果たします。いつ起こるかわからない地震への経済的な備えとして、加入を検討してみてください。

第2回 火災や風水雪災…火災保険で備えを (2015年8月31日掲載)

 隣家が火災になり、もらい火で不幸にも自宅が焼けてしまったとします。隣家の過失によって損害が生じた場合、損害賠償を請求できると思われる方もいるかもしれませんが、失火責任法という法律で、失火者つまり隣家に重大な過失がなければ責任を負わないことになっているため、賠償してもらうことができません。
 自分は火災を起こさない自信があっても、自宅から出火するリスクに備えるためだけでなく、隣家からの延焼に備えるために火災保険を契約しておく必要があります。
 火災保険は、火災や落雷、破裂、爆発による損害に加え、風災や水災、ひょう災、雪災などの自然災害、漏水、盗難など日常の事故による損害も補償する総合補償型のものが一般的です。
 ただし、保険会社や保険商品によっては、風災・ひょう災・雪災による損害は一定額以上、水災による損害は一定割合以上に達した場合でなければ補償の対象とならないことがあるので、注意が必要です。
 また、火災保険は、建物と家財を分けて契約することが一般的です。建物は契約したが、家財は契約し忘れたということがないように気をつけてください。借家にお住まいの方は、家財の火災保険を契約しましょう。
 火災保険を契約する際は、自分に必要な補償は何か、どのような条件で保険金が支払われるのかを確認することが大切です。
 また、既に契約している方は、契約内容を再確認し、必要があれば契約の更新時などに見直すことをお勧めします。

第1回 損害保険でリスクに備える (2015年7月31日掲載)

 損害保険は、万一の場合の損害に対して、少ない負担で備えることができます。
 損害保険の保険料は、事故が発生する確率を算出して決めています。いつ、どこで、誰が事故に遭うかはわかりませんが、過去の数多くのデータを集積することによって、事故が発生する確率を算出することができます。例えば、サイコロを数回投げた際は、連続して同じ数字が出るなど偏りますが、何十回、何百回と投げると、それぞれの数字が出る確率は6分の1に近づいていきます。これを「大数の法則」といいます。
 損害保険は、契約者一人ひとりが少しずつお金を出し合い、ある人が事故に遭ったときの損害を補償する「助け合い」の機能があります。例えば、1万人のうちの10人それぞれに1000万円、総額1億円の損害が発生するとします。この場合、1人あたり1万円を支払えば1億円の損害を補償することができます。このように、少ない負担で大きな安心を得られるのが、損害保険の特長です。
 日常生活に潜むリスクは、火災や風水雪害、地震、噴火、津波、交通事故、ケガなどさまざまです。自分が抱えるリスクの種類と内容を想像し、それらによる損害額を把握したうえで、どう備えるべきかをよく整理しておきましょう。そして、損害保険で備える場合、自分のニーズと保険商品の内容が合致しているか、保険料は負担可能な額かを確認してから契約することが大切です。
 自分の生活、財産は自ら守る必要があります。損害保険を上手に活用して、リスクに備えましょう。