IAIS「事業活動ベース評価手法」市中協議への意見を提出
(2018.2.16)

 日本損害保険協会(会長:原 典之)は、保険監督者国際機構(IAIS)の「システミックリスクに係る事業活動ベース手法(ABA)」の市中協議に対する意見書を2月14日(水)に提出しました。

 IAISはこれまでに、システム上重要なグローバルな保険会社(G-SIIs)の選定基準・G-SIIsに対する適用規制を策定しています。現行選定基準は事業体ベース手法(EBA)を採用しており、個別保険者の破綻が広範な金融システムへ脅威をもたらすかどうかに焦点を定めています。

 一方、EBAでは、特定のリスクに同時にさらされる複数の保険者が集合的に行動したり、経営難に陥ったりした場合に生じうるシステミックな影響を完全には評価できないとの指摘があり、IAISは別途ABAを検討しています。

 市中協議文書では、次の4段階でABAを検討することとされています。

  • 1.システミックリスクをもたらす可能性がある活動の特定
  • 2.1.で特定された活動から生じうるシステミックリスクを軽減する既存政策措置の把握
  • 3.既存政策措置の十分性評価、既存政策措置で十分に軽減されないリスクの特定
  • 4.(予防的・是正的)政策措置の強化・追加

 IAISは、今回の市中協議に寄せられた意見を参考に検討を進め、2018年末に予定している次回市中協議で、詳細な政策措置案、G-SIIs選定基準の改定案等を扱うとしています(全体の検討は2019年に完了し、改定されたシステミックリスク対応枠組みは2020年に導入予定)。

 当協会はIAISでの国際保険監督基準策定の議論に積極的に参加しています。今回の市中協議に際しては、以下の意見等を表明しました。詳細は下記リンク先をご参照ください。

  • 現時点ではABAの具体的な実施内容・その影響が明確ではないため、同意・不同意は判断しかねる。
  • 金融業界に共通するリスク・エクスポージャーに関しては、影響度・レベルプレイングフィールドの観点から、保険業界だけでなく他業界でも同じ規制を導入し、他業界と比較して乖離のある(重要性が低い)保険者にまで措置を適用すべきでない。
  • 各国市場、契約・商品の特徴に応じたシステミックリスクの特定・把握とともに、保険業界だけでなく金融業界全体の既存規制の検証を行い、規制の重複を避けるべき。
  • 目的適合性・目的達成のための有用性を十分に検討し、関連データ・情報収集等において、監督者・保険業界の負担が現状よりも増えないようにすべき。
  • システミックリスクを評価・軽減するための新たな政策措置を策定する前に、既存措置の実効性を高めることで対応可能なケースも考えられる。
  • 現行G-SIIs規制の対象拡大はプロポーショナリティの観点から早計であり、まずはEBAとABAの関係性に係る議論を尽くすべき。

IAISの事業活動ベース手法に関する損保協会意見(PDFファイル)