IAISのICSバージョン2.0市中協議への意見を提出
〜IAIGsに対するリスクベースの国際資本基準案に対する意見を表明〜
(2018.11.8)

 日本損害保険協会(会長:西澤 敬二)は、保険監督者国際機構(IAIS)の「ICSバージョン2.0」市中協議への意見書を10月30日(火)に提出しました。

 ICS(国際資本基準)とは、IAISが、「国際的に活動する保険グループ(IAIGs)(※1)の監督のための共通の枠組み(コムフレーム)」の一部として開発を進めている、IAIGsに適用されるリスクベース、グループ(連結)ベースの資本十分性の指標です(※2)。IAISは、ICSによってIAIGs間の比較可能性を向上させ、グループ資本基準が収れんすることを目指しています。

 本市中協議では、「ICSバージョン2.0」(2019年策定、2020年からコムフレームの一部として実施(※3))に向け、資産・負債の評価の比較可能性の向上、ICS所要資本の測定における内部モデル等の使用、ICS2.0の実施プロセス(モニタリング期間、各国における移行措置)等の論点について、2018年7月31日から10月30日まで意見が募集されました。

 損保協会はIAISでの国際資本基準策定の議論に積極的に参加しています。今回の市中協議に対し、損保協会では、ICSの信頼性や比較可能性の向上、リスク実態の適正な反映、公平な競争条件の確保、作業負荷軽減等の観点で意見を取りまとめ、提出しています。詳細は、下記リンクをご参照ください。

保険監督者国際機構(IAIS)の国際資本基準(ICS)バージョン2.0に関する損保協会意見

(※1)「IAIGs(国際的に活動する保険グループ)」

 IAIGsは以下の3つの基準で選定される。ただし、監督裁量により追加・削除されうるとされている。IAISは世界で50社程度がIAIGsとなるとの見方を示している。

  • 保険契約を3以上の管轄区域で引き受けていること。
  • 母国以外からの引受保険料総額が、グループ全体の引受保険料総額の10%を超えること。
  • 総資産が500億米ドル以上または引受保険料総額が100億米ドル以上であること。

(※2)ICS開発の背景

 IAISは、ICSの開発を段階的に進めており、これまで複数回の市中協議を実施しているほか、フィールドテストを通じて情報を収集している。第一次市中協議(2014年12月〜2015年2月)では、(1)資産・負債の評価手法、(2)適格資本リソースに含まれるべき資本および(3)ICS所要資本の水準調整を含む広範な提案に対する意見が募集された。第二次市中協議(2016年7月〜10月)でも引き続き(1)〜(3)の論点について意見が募集され、(1)については複数の評価手法の検討や保険負債の割引方法、過度の変動の抑制方法等が、(2)については劣後性のあり方や資本構成割合の上限等が、(3)についてはリスク測定の水準や粒度、リスク低減措置(再保険等)やリスクの統合/分散の認識方法等が論点となった。2017年7月21日に、資産・負債の評価手法やリスクの測定手法に関し、複数の選択肢が併存する「拡大フィールドテストのためのICSバージョン1.0(ICS1.0)」が策定され、フィールドテストに参加するボランティアは、同年からICS1.0に基づくデータを監督当局に非開示報告することとされた。

(※3)「コムフレームの一部として実施」

 2020年からのICSの実施に際し、5年間の「モニタリング期間」が設けられ、IAIGsはグループワイド監督者にICSの標準手法に基づく「参照ICS」値の非開示報告を行うこととなっている。また、グループワイド監督者の裁量により、内部モデル等を用いたICS値の報告も可能とされている。同期間において、標準手法以外の手法の是非(十分な比較可能性の有無)、実施にあたってのガバナンスなどについて情報収集し、検討することとされている。
 モニタリング期間終了後の2025年から、グループワイド監督者は、ICSのグループレベルの規制資本(PCR)としての実施に努めることとされている。