協会長ステートメント
会長 佐藤 正敏(さとう まさとし)
(2009.12.17)

 日本損害保険協会の会長に就任して6ヶ月が経過しようとしていますが、 これまでの主な取り組みについてご報告と所感を申し上げます。

1.はじめに

 本年は、政権交代に象徴されるように、金融危機後の厳しい経済情勢から脱却するために、わが国が「変革」を求めた1年であったように思います。

 個人消費が「持ち直し」傾向にあることやアジアを中心とした輸出が増加していることなど日本経済は回復基調にある一方で、緩やかなデフレ状態と高水準の失業率、円高基調の為替相場等の要因により、景気の下押しリスクを抱えた状態にあるといえます。

 日本損害保険協会がとりまとめた会員会社27社の本年度中間決算の集約結果によりますと、正味収入保険料は対前年同期比で4.8%減少し3兆5,109億円となりましたが、中間純利益は対前年同期比で82.1%増加し1,892億円となりました。

 新車販売台数や住宅着工件数は政策効果が表れているものの、その回復は力強さに欠けているなど、損害保険マーケットを取り巻く環境は依然厳しい状況にあります。一方で、台風などの自然災害の影響が少なかったことや、有価証券評価損が減少したことなどから、各社とも収益面では改善しています。

 損害保険業界を取り巻く事業環境は引き続き厳しい状況にありますが、消費者の声を基点とした業務品質向上に努め、個人の生活と企業の事業活動を支える「損害保険」の役割を果たしてまいりたいと考えております。


2.重点取り組み課題の進捗状況

 協会長就任時に、3つの重点取り組み課題を申し上げましたが、これまでの取り組み状況についてご報告いたします。

(1)消費者とのコミュニケーションの推進

ア.損害保険商品の比較情報の提供
 日本損害保険協会では、「保険商品の比較に関する自由討論会」における一般消費者等の意見を踏まえ、損害保険商品の比較情報の提示について検討を進めてきました。

 6月の「損害保険商品の比較ガイドライン」の作成に引き続き、11月26日より協会ホームページ内に「自動車保険商品の比較ホームページ」を開設いたしました。

 本ホームページでは、会員会社から提供を受けた情報を元に、補償内容、主な特約・割引のほかサービスや商品の特徴などの項目について、選択して比較することができます。また、自動車保険商品を選ぶときのポイントも記載していますので、消費者の皆様の自動車保険選択の一助としてご活用いただければと思います。

イ.消費者啓発・広報活動
 日本損害保険協会では、高校生・大学生や一般消費者を対象とした講演会や消費生活相談員を対象とした勉強会に、損害保険の講師を派遣しています。本年度は10月までの累計で186回の講師派遣を行い、聴講者の総数は30,000人弱となりました。

 また、本年度より一般消費者を対象とした「そんぽオープンセミナー」を各地区で開催していますが、10月までに、宮城県、東京都、香川県および兵庫県で計10回開催しました。さらに、本年度からの新しい取り組みとして、広く消費者に情報提供するためにラジオを活用した広報活動を実施しております。

 今後も、損害保険の仕組みや保険契約締結時・保険金請求時等の留意点について、消費者の理解促進に努めてまいります。

ウ.消費者の声の業務改善への活用
  日本損害保険協会では、本部および全国の10支部に「そんがいほけん相談室」を、また全国48ヶ所に「自動車保険請求相談センター」を設置し、損害保険に関する相談・苦情を受け付けております。

 また、国民生活センターや地域の消費生活センター等の消費者行政機関との意見交換会を開催し、損保業界に対する意見・提言をいただくなど、直接、消費者の意見・要望をお聴きするよう努めてまいりました。

 こうして寄せられた意見や要望を踏まえ、日本損害保険協会の各種ガイドラインの見直しを行うなど、業界全体の業務改善に活用しております。


(2)業務品質の向上に向けた取り組み

 日本損害保険協会では、業界共通の試験制度として損害保険募集人試験(更新制度)と保険商品専門試験を実施しております。本年10月までに約28万7,000人が損害保険募集人試験(更新制度)を受験し、また約15万人が保険商品専門試験を受験しました。

 会員各社では、引き続き集合研修やeラーニング、DVDを使った研修などを活用し、募集人に対する事前教育・自己学習を推進し、募集人の育成を図っていきます。

 

(3)環境問題への対応

 現在、コペンハーゲンでは気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)が開催され、ポスト京都議定書の枠組みについて議論が続けられています。
  
  日本損害保険協会では、11月6日に第50回となる「環境講座」を開催し、「地球環境問題の現状とその対応」をテーマとした基調講演のほか、損害保険業界の環境問題に対する具体的な取り組みについてメッセージを発信しました。

 また、会員各社に対して「環境問題に関するアンケート」を実施し、その集約結果について会員会社間で共有化し、環境問題に対する取り組みについて業界全体のレベルアップを図りました。

 COP15を踏まえ、今後とも損保業界として地球規模の気候変動に対する問題意識と行動につながる具体的な取り組みを継続的に推進してまいります。

3.その他の取り組み

(1)防災・防犯・事故防止

ア.消防車の寄贈
 日本損害保険協会では、安全で安心なまちづくりに貢献するために、1952年から毎年全国の市区町村等に消防車の寄贈を行っております。本年度は、全国23の市区町村、離島12市町村に小型動力ポンプ付軽消防自動車28台、小型動力ポンプ7台を、また各地の消防本部に高規格救急自動車10台を寄贈しました。

イ.防災教育の啓発
 日本損害保険協会では、従来より学校・地域における「防災」「防犯「交通安全」活動の意義・重要性をアピールしてきました。

 具体的には、小学生を対象とした「ぼうさい探検隊マップコンクール」を毎年実施し、地域の防災マップ作成を通じた子供たちの防災意識の啓発等に取り組んできました。本年度のコンクールには過去最多となる1,389点の応募が全国から寄せられました。

 なお、来年1月23日に両国KFCホールにおいて、入賞作品の表彰式を行う予定です。

ウ.盗難防止に向けた取り組み
 日本損害保険協会では、10月7日を「盗難防止の日」と定め、全国一斉の啓発活動を2003年から毎年実施しております。

 本年も、全国の主要駅など55ケ所で、会員各社の社員、代理店、警察関係者などを含めた約2,000名が参加し、約10万部のノベルティを配布して、自動車盗難・住宅侵入盗などの防止啓発を行いました。

エ.全国交通事故多発交差点マップの改定
 日本損害保険協会では、協会ホームページ上に「全国事故多発交差点マップ」を公開していますが、10月に直近の人身事故件数によるマップの内容を更新しました。

 交差点周辺の住民の方を始め多くの道路利用者の皆さまが、これらの情報をご活用いただくことによって、交通事故のない安全・安心な社会づくりに貢献したいと考えております。

(2)国際社会への働きかけ

 11月9日から約2週間にわたり、損害保険事業総合研究所との共催で、第19回日本国際保険学校(ISJ)上級コースを東京で開催しました。本コースでは、東アジア12地域の損害保険会社、保険監督官庁等の職員が、講義やワークショップに参加し、相互理解と交流を深めました。

 また、10月19日から24日にかけて、第16回保険監督者国際機構(IAIS)年次会合がリオデジャネイロで開催されました。昨今の金融危機の経験から、国際的に活動する保険グループに対する監督のあり方が主要テーマとして取り上げられ、ガイダンス文書等が採択されました。なお、日本損害保険協会は年次会合の専門委員会での意見陳述やパネルセッションに参加するなど積極的に情報の発信に努めました。


4.おわりに

 2009年も残すところあと2週間となりました。

 これまで、協会長就任の際に申し上げました「消費者とのコミュニケーションの推進」「業務品質の向上に向けた取り組み」「環境問題への対応」というテーマを重点取り組み課題として取り組んでまいりました。

 今後半年間の在任期間を通じて、これから新しい時代に適応した損保業界へ進化していくよう、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。

以上