協会長ステートメント
会長 柄澤 康喜
(2012.12.20)

 協会長に就任して6ヶ月が経過しようとしています。この間の主な取組みの状況と今後の課題につきまして報告いたします。

1.協会長としての取組みの状況と今後の課題

(1)損害保険をより強い、確かな、信頼されるものにするための取組み

ア.お客さまに損害保険をより理解していただくための取組み

会長 柄澤 康喜

ア)よりわかりやすい募集文書・説明のあり方の検討
 「お客さまの声・有識者諮問会議」において、消費者代表、弁護士などの有識者に参加いただき、わかりやすい募集文書を試作するとともに、実用化に向けた法制課題を整理しました。今後、金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキンググループ」に提案させていただき、その実現に向けて理解を求めてまいります。

イ)お客さまの声を起点とした業務改善の取組み
 今年度から、お客さまの声を起点とした業務改善の取組みを強化しています。今年度上期に寄せられたお客さまの声を踏まえて、「お客さまの声・有識者諮問会議」によるチェック機能を最大限に活用し、お客さまへの情報提供の強化や募集人教育の見直し等を行うこととしました。今後も、より実効性のある取組みを進めてまいります。

ウ)共通化・標準化の取組み
 協会内に設けた共通化・標準化推進プロジェクトチームにおいて、事務手続きのルールやお客さまに記入いただく書類等を共通化・標準化する取組みを進めています。選定した130項目のうち、災害時における保険料払込猶予等特別措置の共通化など、お客さまにとって効果の大きい約30項目について優先的に取り組んでいます。

エ)募集人の更なるレベルアップに向けた取組み(損害保険大学課程)
 7月から日本損害保険代理業協会と共同で開始した「損害保険大学課程(専門コース)」を通じて、これまでに法律・税務などに関する損害保険の周辺知識を修得した3万人を超える「損害保険プランナー」が誕生しました。来年度から、より実践的な知識・業務スキルの修得を目的とした「コンサルティングコース」も開始することとしており、現在、受講者を募集しています。これらの取組みを通じて、お客さまにより適切で質の高い説明・アドバイスができる募集人を増やしてまいります。

イ.社会的損失を最小限に抑えるための取組み

ア)韓国損害保険協会の訪問
 7月の英国に続いて10月には韓国の損害保険協会を訪問し、保険金詐欺に対する取組みなどについて意見交換しました。韓国損害保険業界も保険金詐欺に対して強い問題意識を持っており、今後も両協会で連携して取り組むことで一致しました。引き続き、保険金詐欺対策を含めた両協会の関係強化に取り組んでまいります。

イ)保険金不正請求防止に向けた取組み
 「お客さまの声・有識者諮問会議」において、保険金詐欺や不正請求の防止に向けたデータベースの構築、自動車盗難防止などについて検討を進めてまいりました。

 また、英国における保険金詐欺対策の取組みや「お客さまの声・有識者諮問会議」における検討などを参考に、消費者を対象としたモラル意識調査の実施、保険金詐欺の実態を把握するためのデータ収集に加え、来年1月から、協会内に専門部署「保険金不正請求対策室」を立ち上げます。保険金不正請求の通報窓口(保険金不正請求ホットライン:0120-271-824「不正は通報」)を設置するとともに、損害保険各社から不正請求等に関するデータを収集・分析し、対策の検討を行うなど、協会における保険金不正請求対策の司令塔としての役割を担うことになります。新たな体制のもと、事故や災害、犯罪の防止を通じて社会的損失を最小限に抑える取組みを加速してまいります。

ウ)防災に関する啓発活動(ぼうさい探検隊)
 子どもたちがまちを探検しながら防災や防犯・交通安全について学ぶ「ぼうさい探検隊」の取組みは、今年度で9回目となりました。今回は、東日本大震災を受けた防災意識の高まりや防災教育の推進などを背景として、過去最多であった前年度をさらに上回る417の学校・団体から、2,018点のマップの応募をいただきました。専門家等による審査の結果、入選15作品が決定しており、来年1月26日に表彰式を行う予定です。

(2)損害保険会社、損害保険事業をより強い、確かな、信頼されるものにするための取組み

ア.損害保険会社の健全性を高めるための取組み

ア)平成25年度税制改正要望(火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実ほか)の実現に向けた取組み
 6月にまとめた平成25年度税制改正要望、とりわけ「火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実」については、大幅に減少した残高を早期に回復させ、発生の時期・規模の予測が困難な巨大災害に対してもお客さまに確実に保険金をお支払いするための担保力を充実させる必要があることから、来年度改正で実現いただきたいと考えています。その他要望項目を含め、実現に向け関係各方面にご理解を求める活動を行ってまいります。

イ)地震保険制度見直しを踏まえた取組み
 財務省に設置された「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」の報告書が取りまとめられ、地震保険制度の「強靭性」、「商品性」などについて方向性が示されました。強靭性の向上により、地震保険制度の安心感・信頼性が増すこととなります。また、巨大地震の際の査定方法の見直しや耐震割引の適用に係る手続きの簡素化等の検討を進めていくこととなります。

地震保険制度の目的は、被災者の生活の安定に寄与することにあります。この目的に鑑み、私たちの使命である地震保険の更なる普及に努めてまいります。

ウ)金融審議会「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキンググループ」
 金融審議会「金融システム安定等に資する銀行規制等の在り方に関するワーキンググループ」において、銀行のほか証券会社、保険会社を含むすべての金融機関を対象に、市場等を通じて伝播するような危機に対する秩序ある処理を可能とする枠組みの検討が行われています。具体的な制度設計にあたっては、損害保険業を含む各業態の特性を踏まえた議論が必要であると考えています。

エ)国際的な保険監督規制のあり方に対する意見表明
 保険監督者国際機構(IAIS)が10月に公表した「グローバルにシステム上重要な保険会社(G-SIIs)」に対する適用規制案について、「伝統的な保険事業」「非伝統的な保険・保険以外の事業」毎の特性に応じた監督や規制を検討すべき、などの意見を表明しました。また、10月に開催されたIAISの年次総会において、消費者保護の改善に関するパネルセッションに参加し、保険内容をより理解いただくための工夫、商品の簡素化・標準化等わが国損害保険業界の取組みを紹介しました。11月には、欧州保険年金監督機構(EIOPA)の議長が協会を訪問され、国際的な保険監督規制の動向、検討状況等について意見交換を行いました。

 今後も、国際的な議論の動向を引き続き注視するとともに、わが国の進んだ取組みについて情報を発信し、相互理解と交流を深めつつ、積極的に意見表明を行ってまいります。

イ.お客さまのニーズに応える損害保険事業の多様化のための取組み

ア)金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキンググループ」
 金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキンググループ」において、未知の、新しいリスクについて、保険会社間の共同行為制度の条件を緩和することを提言しています。契約者のニーズにあった補償を迅速に提供する観点から、リスクや損害に関するデータの蓄積を制度的に後押しいただくことの意義、効果についてご理解を求めています。また、保険金信託業務や防災コンサルティングにおける付随業務など業務範囲を拡大することについても、協会の提言を踏まえたご議論をいただいています。引き続き、お客さまの多様なニーズへの対応に向けた環境整備についてご理解を求めてまいります。

イ)諸外国の機関との交流
 諸外国との情報・意見交換を通じて、各国損害保険市場の健全な発展や損害保険会社の海外展開の一助となる活動にも、積極的に取り組んでいます。

 各国の保険協会が、意見発信や情報交換などの活動を強化することを目的に設立した国際保険協会連盟(GFIA)に発足と同時に加盟しました。また、ミャンマー、カンボジアで損害保険事業総合研究所と共同でISJ(日本国際保険学校)海外セミナーを開催し、インドで現地当局向けにわが国における協会の役割・活動などに関する講演を実施したほか、英国保険協会に初めて研修生を派遣しました。インドネシアにおいては、現地の当局や損害保険協会との間で、損害保険制度に関する技術支援などの協力関係を構築していくことについて合意しました。

 損害保険業の発展のため、国際的な活動にも引き続き取り組んでまいります。

2.おわりに

 就任から約6ヶ月の間、上記取組みを進めてまいりました。

 お客さまに損害保険をよりご理解いただくこと、社会的な損失を抑えることなど、協会が掲げる重要課題が具体的な成果として実を結ぶためには、今後も継続的に取り組んでいく必要があります。

 わが国の損害保険の仕組みや損害保険事業をより強い、確かな、信頼されるものにするため、スピードを緩めることなく、さまざまな課題に全力で取り組んでまいります。引き続き、皆さまのご支援、ご協力を宜しくお願い申し上げます。

消費者意識調査 保険金不正請求対策室 の概要について(PDFファイル)

以上