協会長就任にあたって

会長  二宮 雅也

(2013.6.28)

 協会長に就任して約3ヶ月が経過いたしました。その間の主な活動や出来事につきまして、ご報告するとともに所感を申し上げます。

1.はじめに

会長 二宮 雅也

 7月以降、日本各地で台風や記録的な豪雨、竜巻などの自然災害による被害が相次いでいます。報告に先立ちまして、これらの災害により被害にあわれた皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。
 われわれ損害保険会社は、適時・適切な保険金支払いを通じて、被害にあわれた皆さまへのご支援に引き続き全力を尽くしてまいります。

2.これまでの取組状況と今後の課題

(1)事故や災害、犯罪による社会的損失の低減 〜安全な社会の形成〜

ア. 保険金詐欺や不正請求の防止に向けた取組み

  損保協会では、本年1月に保険金不正請求対策室を設置し、保険金詐欺や不正請求などの保険制度を悪用した行為を防止するための取組みを強化しています。
現在、その取組みの1つとして、金額の多寡に関わらず保険金の不正請求は 犯罪であることを消費者の皆さまに正しくご理解いただき、不正請求を抑止するため、警察庁と連携して、注意喚起用ポスターの作成を進めています。
 対策室立上げ以降、不正請求に関する業界共通データベースへの登録情報は着々と増加しています。保険金詐欺や不正請求の防止に向けた取組みは、消費者啓発やデータ整備が途上であり、業界を挙げて、引き続き消費者啓発とデータ拡充に努めるとともに、先行している諸外国の手法を参考に、より実効性のある取組みを継続実施してまいります。

イ.自転車の安全走行に資する取組み

  自転車事故による高額賠償判決を受け、消費者の皆さまの自転車リスクへの関心が高まっています。損保協会では、交通事故時の自転車の加害者としての側面を知っていただくため、全国でセミナーを開催しています。また、安心して自転車をご利用いただくため、個人賠償責任保険や傷害保険など、自転車事故の際に保険金をお支払いする保険の情報提供に努めています。

ウ.「盗難防止の日」の取組み

 10月7日の「盗難防止の日」に全国で自動車の盗難防止に関する啓発活動を実施します。2012年の自動車盗難認知件数は21,070件となり、ピーク時の3割程度にまで減少していましたが、2013年1月から7月までの盗難認知件数は、前年と比較して増加傾向が見られます。
 このような状況を踏まえ、盗難被害に遭わないためには複数の盗難防止対策を講じることが効果的であることを訴えてまいります。
 当日は、警察や日本損害保険代理業協会と連携し、各地の街頭で啓発チラシなどを配布します。

エ.地震保険の普及に向けた取組み

 地震保険の理解と普及促進のため、8月下旬からテレビ・新聞・インターネット・ラジオなどを通じた広報活動を展開しています。
  地震保険は、政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であり、被災後の生活の安定に重要な役割を果たします。
  広報活動では、地震広報のキャラクター「イマシリ先生」が地震保険の仕組みや契約方法などをわかりやすく説明しています。

(2)損害保険のわかりやすさと安心感の向上の追求 〜安心して加入できる保険へ〜

ア.損害保険のわかりやすさの向上の追求

  損保協会では、損害保険をご契約いただく際に使用する重要事項説明書をわかりやすくするための取組みを1年かけて進めてまいりました。その集大成として、自動車、火災、傷害、医療の各保険の重要事項説明書の改善案(プロトタイプ)が完成し、本年9月に「契約概要・注意喚起情報に関するガイドライン」と「募集文書等の表示に係るガイドライン」にその内容を反映させました。
 また、事務手続きやお客さまにご記入いただく書類などについても、ルールや様式の共通化・標準化を進めています。
 今後も、損害保険のわかりやすさの向上のため、お客さまがご契約の際に目にされる募集文書や申込書などについて、お客さまの立場に立った改定を進めてまいります。

イ.損害保険募集人の資質向上

 損害保険大学課程の専門コース試験に合格し、「損害保険プランナー」として認定された募集人は8月末で4.2万人に達しました。また、より実践的な知識や業務スキルを習得した「損害保険トータルプランナー」を目指すためのコンサルティングコース教育プログラムが本年4月に開講され、約800人の募集人が受講し、一層のスキル向上に取り組んでいます。
また、募集人は、損保協会が2011年10月から実施している自動車、火災、傷害・疾病といった各保険単位の試験に本年12月までに合格しなければ、当該保険種目の募集が行えなくなります。
損害保険に対するお客さまの信頼を向上させるため、今後も、損害保険募集人の知識やスキルを高めるための取組みを推進してまいります。

ウ.金融教育の推進

 6月7日に「金融経済教育推進会議」が開催されました。本会議は、「金融経済教育研究会報告書」で示された諸課題への取組みについて審議することを目的に、金融広報中央委員会に設置されたものであり、損保協会も金融経済教育の実施主体として、検討に参加しています。
損保協会では、未就学児、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人、高齢者の方々に対して、身の回りにある危険や保険の役割・必要性をお伝えするためのさまざまなツールを用意しています。
消費者の方々が、実生活で必要な保険やその必要額についてのご理解が深まるよう、損害保険に関する啓発活動を一層推進してまいります。

(3)業界の持続的発展と健全な成長 〜将来に向けた取組み〜

ア.保険募集・販売ルールの整備に向けて

 6月にとりまとめられた金融審議会「保険商品・サービス等の提供等の在り方に関するワーキング・グループ」の報告書では、保険募集・販売ルールの在り方について広範な見直しの提言がなされています。
 報告書の趣旨である「顧客が、真に必要とする保険商品に、分かりやすい説明を受けて、十分に理解・納得したうえで加入できるような制度的枠組み」が整備され、保険募集に従事する者がこれにしっかりと対応していくことは、損害保険事業が持続的に発展していくための不可欠な前提であると認識しています。
 損保協会では、新たな制度に対する会員各社・代理店の実務対応を的確なものとするため、9月にプロジェクト・チームを設置し、そこでの論議も踏まえながら、当局への要望の伝達、各種自主ガイドラインの検討などに努めてまいりたいと考えています。

イ.平成26年度税制改正要望

 6月13日の理事会において、「平成26年度税制改正要望」を取りまとめ、関係各省庁に要望いたしました。今年度は「受取配当金等の二重課税の排除」を重点要望項目として掲げており、金融庁要望に取り上げていただきました。

ウ.日本国際保険学校(ISJ)海外セミナーの開催

 9月5日から9日にかけて、ベトナムでISJの海外セミナーを開催しました。 ISJは、アジア地域の損害保険業界の相互理解と交流強化を目的とした保険技術支援プログラムであり、今年度で、国内セミナーは41年目、海外セミナーは20年目を迎えます。
 今回の海外セミナーは、政府の日越友好40周年記念事業の一環として実施されました。代理店教育、料率算出、自然災害、保険金詐欺対策などをテーマとする通常プログラムに加え、初の試みとして、現地保険会社トップおよび保険監督当局の高官をお招きし、料率算出団体や原子力保険プールに関するワークショップを開催し、参加者からは大変な好評を得ました。

エ.アジア支援の取組み

 アジア諸国に対するソフトインフラ、ノウハウの提供に向けた取組みの一環として、損保協会では、昨年度より、損害保険料率算出機構、損害保険事業総合研究所と連携して、インドネシアにおける料率算出団体設立に向けた支援を実施しています。本年7月末にインドネシア金融庁から現地損害保険協会に、料率算出団体設立検討への協力依頼文書が発出されたことから、今後、これまで以上に現地の動きが活発化すると予想されます。損保協会としても引き続き積極的な支援を行ってまいります。

3.おわりに

 損保協会の活動の軸としている第6次中期基本計画の重点施策については、着実に取組みが進んでいます。業界を取り巻く環境は変化し、新たな課題が日々発生してまいりますが、業界の持続的発展と健全な成長を確固としたものとすべく、今後もスピード感をもって取り組んでまいります。
 また、我が国の経済が成長へ向けて確実に前進できるよう、会員各社は損害保険会社としてより良い保険商品やサービスをご提供してまいります。
 皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。


以 上