協会長ステートメント

会長  二宮 雅也

(2013.12.19)

 協会長に就任して約6ヶ月が経過いたしました。その間の主な活動や出来事につきまして、ご報告するとともに所感を申し上げます。

1.反社会的勢力の排除に向けた取組み

会長 二宮 雅也

 損害保険業界では、損害保険事業の公共性に鑑み、これまでも反社会的勢力との関係遮断に取り組んできましたが、11月21日に開催した理事会において、この取組みを強化するため、「損害保険業界における反社会的勢力への対応に関する基本方針」を改定するとともに、以下の3点を実践することについて会員各社で確認しました。
 また、反社会的勢力との取引が判明した際には直ちに適切に経営陣への報告が行われる態勢の整備を徹底することについて、あらためて確認しました。

(1)会員各社は、その業務において提携先を通じた取引を行う場合は、当該提携先における反社会的勢力の排除に向けた取組みの内容を検証するなど、所要の対応を実施する。

(2)会員各社は、その業務運営や事後チェックにおいて反社会的勢力との取引が判明した場合は、速やかにその解消に向けて所要の対応を行う。

(3)損保協会および会員各社は、反社会的勢力との関係遮断に向けた反社会的勢力に関する情報収集の重要性を認識し、情報の充実に努める。

 さらに、損保協会の反社会的勢力データベースに登録されている情報の拡充を図るため、全国銀行協会や生命保険協会からデータ提供を受ける検討を進めるとともに、損保協会が有するデータについて、適切な管理などが図られることを条件に他団体に提供することの検討を進めています。

 

2.第6次中期基本計画の取組状況

(1)事故や災害、犯罪による社会的損失の低減 〜安全な社会の形成〜

ア.保険金詐欺や不正請求の防止に向けた取組み

 損保協会では、本年1月に保険金不正請求対策室を設置し、保険金詐欺や不正請求などの保険制度を悪用した行為を防止するための取組みを強化しています。
 現在、同対策室においては、諸外国の不正請求対策に関する先進的な事例を 我が国で実行した場合の有効性について検証を進めています。また、損害保険会社の協力により、不正請求に関する業界共通データベースの登録情報は増加し、各社における同登録情報の活用も着実に進んでいます。
 損保協会としても、損害保険会社における活用がさらに進むよう、仕組みの見直しなど、実効性のある取組みを検討していきます。

イ.「ぼうさい探検隊」の取組み

 次代を担う子どもたちが、自分の住むまちを探検しながら、実体験を通じて防災・防犯・交通安全について学ぶ「ぼうさい探検隊」の取組みは、今年度で10年目を迎えました。東日本大震災を受けた防災意識の高まりにより、地域の防災教育の裾野は着実に拡がってきており、今年度の「ぼうさい探検隊マップコンクール」への応募数は過去最多の449団体・2,191マップとなりました。
 先日、専門委員の審査により、ご応募いただいたマップの中から入選15作品を決定しており、来年1月25日に入賞した7団体の子どもたちを招き、表彰式を開催する予定です。

(2)損害保険のわかりやすさと安心感の向上の追求 〜安心して加入できる保険へ〜

ア.金融経済教育の推進

 損害保険の理解促進につなげるため、損保協会では国立・私立の大学18校に「損害保険概論」などの連続講座を提供しています。本講座には損保協会だけでなく会員各社や日本損害保険代理業協会も講師を派遣しており、環境変化に応じた損害保険の変遷や日常生活における損害保険の有用性、事故の場合の保険金支払いまでの流れなどを、体験談を交えてわかりやすく解説しています。学生からは臨場感がありとても役に立つ授業であると高い評価を得ています。
 また、損保協会は、本年6月に設置された「金融経済教育推進会議」に実施主体として参画しており、消費者が備えるべき損害保険のリテラシーを年齢層別に整理するとともに、損害保険の必要性をご理解いただくためのツールを提供しています。

イ.共通化・標準化の取組み

 損保協会では、消費者利便の向上および代理店・会員各社の業務効率化のため、事務手続きやお客さまにご記入いただく書類などについて、ルールや様式の共通化・標準化を進めています。
 重要事項説明書の改善案の作成、保険募集の適切性に関する判断基準の共通化など、この6ヶ月で新たに10案件の実施を決定しており、本中期基本計画期間中にさらに多くの対応を実現すべく取り組んでいます。

ウ.損害保険募集人の資質向上

 損保協会では、2011年10月から実施している「損害保険募集人一般試験」の「基礎単位」試験に合格した者でなければ、募集人届出を行うことができない取扱いとしていますが、本年12月からは、自動車・火災・傷害の各保険の「商品単位」試験に合格した者でなければ、当該種目の保険募集を行えないこととしました。
 また、損害保険募集人が一層のステップアップを目指す仕組みとして、「損害保険大学課程」の認定制度を導入しており、11月までに約4.5万人の募集人が「損害保険プランナー」に認定されています。
 さらに、実践的な知識や業務スキルを習得した「損害保険トータルプランナー」となることを目指すためのコンサルティングコース教育プログラムも本年4月に開講しています。
 損害保険に対するお客さまの信頼を向上させるためには、保険募集を担っている損害保険募集人の資質向上は欠かせないものであり、今後もこれらの取組みを継続していきます。

エ.地震保険制度の各種課題への対応

 昨年11月に財務省「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」において報告書が公表され、地震保険制度の見直すべき点について提言がなされました。
 報告書において「喫緊の課題」とされた制度の強靭性の課題については、本年5月に官民保険責任額の改定により対応が図られ、また、「速やかに対応すべき課題」とされた商品性・保険料率の課題の多くは、来年7月の地震保険制度の改定によって対応が図られることになります。
 11月27日と12月19日には、同プロジェクトチームのフォローアップ会合が開催され、損保協会から各種課題に関する検討の進捗状況などを報告しました。 引き続き、地震保険制度がお客さまにより一層の安心・信頼を感じていただけるものとなるよう、損害保険業界として社会的責任を果たしてまいります。

(3)業界の持続的発展と健全な成長 〜将来に向けた取組み〜

ア.保険募集・販売ルールの整備に向けた対応

 損保協会では、金融審議会「保険商品・サービス等の提供等の在り方に関するワーキング・グループ」の報告書を受け、本年9月に協会内にプロジェクトチームを設置し、今後実施される規制の見直しに対する会員各社および代理店の実務対応を的確なものとするための課題整理などを進めています。

イ.平成26年度税制改正要望

 積立保険の契約者の皆さまに税理論に反した不利益を及ぼさないために、重点要望項目として「損害保険会社の積立勘定から支払われる利子の負債利子控除対象からの除外」を要望しておりましたが、12月12日に公表された「平成26年度与党税制改正大綱」において、従来どおり除外措置を「5年延長する」として採り上げられました。

ウ.国際的な動向への対応

 本年10月、台北でIAIS(保険監督者国際機構)の第20回年次会合が開催されました。今回の年次会合では、FSB(金融安定理事会)の規制強化の動向を踏まえ、保険セクターで初となる「国際的な保険資本基準(ICS)の策定」が宣言されており、損保協会では、国際的な資本基準が合理的でわかりやすいものとなることを条件に、策定を支持する旨の意見表明を行っています。
 また、IASB(国際会計基準審議会)が本年6月に公表した国際会計基準「保険契約」改訂公開草案に対して、財務諸表作成コストが高まることや利用者の理解がかえって困難になると考えられる点などについて、10月に意見表明を行いました。

エ.アジア支援の取組み

 アジア諸国に対するソフトインフラ、ノウハウの提供に向けた取組みの一環として、損保協会では、昨年度から、損害保険料率算出機構、損害保険事業総合研究所と連携して、インドネシアにおける料率算出団体設立に向けた支援を実施しています。
 また、着実な経済発展を遂げているASEAN加盟国の保険業界との交流促進を図るとともに、同地域の保険業界の発展に貢献するため、今月3日に開催されたASEAN保険会議に損保協会としてはじめてパネリストを派遣しました。
 今月16日から18日には、ミャンマーの民間保険会社代表団15名が来日しました。損保協会では、同国の保険業界の今後の発展に協力すべく、我が国損害保険業界の先進的な取組みを広く紹介しています。

3.おわりに

 協会加盟26社の中間期決算概況は、全体としては、株高基調の継続により資産運用粗利益が大幅に増加した結果、前年同期比を上回る決算となっています。また、会員各社によって差異はあるものの、自動車保険収支も改善傾向が見られるようになってきました。
 金融市場の急変や自然災害などのリスクファクターはあるものの、上半期のような国内景気の緩やかな回復が継続すれば、企業活動や個人消費の動向と密接に関わっている当業界は、保険料収入の増加や運用収益の拡大が期待でき、通期決算においてもおおむね順調な業績となるのではないかと考えています。
 今後とも、我が国の経済が成長に向けて着実に前進できるよう、損害保険会社としてお客さまニーズに合致した保険商品やサービスの提供により一層努めてまいりますので、皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

以 上

2013年12月 協会長ステートメント(PDFファイル)