協会長ステートメント

会長  二宮 雅也

(2014.3.20)

会長 二宮 雅也

 東日本大震災から3年が経過しました。大震災で亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。
 3月11日、政府主催の「東日本大震災三周年追悼式」に出席し、この大震災がわが国に与えた影響を思いおこし、地震保険の普及促進に携わる者として、その責任の重さを改めて痛感いたしました。
 大震災の教訓をもとに、地域社会などを中心として減災につなげるためのさまざまな取組みがなされています。損保業界においても、当時の対応で得られた多くの教訓を、今後の改善や対応態勢の向上につなげています。
 「自助」としての地震保険は、災害時の当面の生活安定に向けて非常に有効であり、今後も業界を挙げて一層の普及促進に努めてまいります。

(2)地震保険制度の各種課題への対応

 地震保険制度につきましては、2012年11月に財務省「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」報告書において諸課題が整理され、これまで、巨大地震の連続発生に備えた官民保険責任額の改定、住宅ローン利用者やマンション管理組合への加入促進が実施されました。また、本年7月には地震保険料率の改定が予定されています。
 昨年11月から開催されている同プロジェクトチームのフォローアップ会合においては、損保協会から、損害査定方法の見直しやマンション付属設備の損害査定などの課題について検討状況を報告しています。
 地震保険制度が消費者の皆さまに安心を提供し、一層の信頼をお寄せいただけるものとなるよう、引き続き官民で連携して検討を進め、社会的責任を果たしてまいります。

2.第6次中期基本計画の取組状況

(1)事故や災害、犯罪による社会的損失の低減 〜安全な社会の形成〜

ア. 保険金詐欺や不正請求の防止に向けた取組み

 保険金詐欺や不正請求の防止については、「業界共通データベースの構築・拡充」、「調査・対応体制の整備」、「啓発活動の推進」という3つの対策を柱にして取り組んでいます。
 損保協会では、保険金請求に関するさまざまな情報を蓄積しており、現在、その活用範囲や活用方法などを検討しています。例えば、組織的に活動している不正請求者の人的繋がりを分析し「見える化」をすることができれば、損害保険会社に注意喚起を促すことが可能となります。
 わが国の不正請求防止の取組みは発展段階にあり、先行しているアメリカや韓国などの不正請求に関する対策を参考にしつつ、より実効性のある対策を進めてまいります。

イ. 自転車事故の削減に向けた取組み

 損保協会では、自転車事故による死傷者の4割を24歳以下の若者と子供が占めている状況に鑑み、高校や大学を中心に講師を派遣し、冊子「知っていますか?自転車の事故」をテキストに、安全運転のための心得、事故を起こしてしまった場合の責任などに関する講演を実施しています。また、自転車事故に備えるための損害保険商品に関する情報提供も行っています。
 昨今、自転車事故の高額賠償判決が散見されるようになっています。自転車事故による損害賠償責任については、傷害保険、火災保険、自動車保険などの特約として契約することができる個人賠償責任保険で補償されます。損保協会では、自転車の運転に伴うリスクと保険による備えの必要性について啓発し、個人賠償責任保険の普及に努めてまいります。

(2)損害保険のわかりやすさと安心感の向上の追求 〜安心して加入できる保険へ〜

ア. 金融経済教育の推進

 損保協会は、昨年6月に金融広報中央委員会に設置された「金融経済教育推進会議」に実施主体として参画しています。
 同会議の具体的な活動として、次年度より2つの大学で金融業界を横断した内容の連続講座が開設されることとなっており、損保協会からも講師を派遣する予定です。損保協会では、従来、全国各地の大学で連続講座を実施しており、このノウハウを活かし、同会議の取組みに協力してまいります。

イ. 損害保険募集人の資質向上

 損保協会では、2012年7月に日本損害保険代理業協会と共同で「損害保険大学課程」の認定制度を立ち上げ、「損害保険プランナー」および「損害保険トータルプランナー」の育成に努めています。
 今年度は800名の損害保険募集人がコンサルティングコース教育プログラムを受講しており、認定試験を経て、6月末にはいよいよ第1期の「損害保険トータルプランナー」が誕生します。
 損害保険に対するお客さまの信頼を確保するためには、保険募集を担っている損害保険募集人の資質向上は欠かせないものであり、今後もこれらの取組みを継続してまいります。

ウ.自賠責保険の広報活動と運用益拠出事業

 自賠責保険は、交通事故の被害者保護を目的とした保険であり、すべての自動車とバイクに加入義務があります。
 損保協会では、3月1日からの1ヵ月間を中心に、女優の岡本玲さんを広報キャラクターに起用した広報活動を実施しており、「必ず加入」・「被害者を守る」・「更新を忘れない」という訴求ポイントを「3つの約束、自賠責保険。」というメッセージに託して、自賠責保険制度の認知・理解促進を呼びかけています。
 また、1971年から実施している自賠責保険の運用益を活用した事業について、2014年度は、引き続き自動車事故被害者対策や事故防止対策を中心に取り組んでいくこととしています。

エ. お客さまの声・有識者諮問会議の開催

 2月27日に、お客さまの声・有識者諮問会議を開催しました。今回の会議では、損害保険業界における反社会的勢力への対応、高齢者対応、自転車事故の取組みなどについて意見交換を行いました。
 高齢者対応については、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、日本全体が高齢化している日常を前提として、生活に必要な自動車の利用とそれを支える保険などの仕組みについて、早くから手を打っていかなければならないとのご意見をいただいており、損保協会として広く課題を洗い出し、検討を進めていく予定です。

(3)業界の持続的発展と健全な成長 〜将来に向けた取組み〜

ア. 保険募集・販売ルールの整備に向けた対応

 金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキンググループ(保険WG)」報告書などを背景として、すべての保険代理店の使用人について、その要件の充足状況等について実態を調査のうえ、本年3月の監督指針改正によって明確化された使用人としての管理の適正要件に照らして、遅くとも2015年3月末までに適正化の措置を行うことが求められることとなりました。
 本件については、業界を挙げて取り組む必要があることから、損保協会では、会員各社・保険代理店の取組みを支援すべく、協会内に設置した保険WG報告書対応プロジェクト・チーム(PT)において対応を行っています。
 今通常国会には保険WG報告書を受けた保険業法改正案が上程されています。法改正に伴う募集・販売ルールの見直しに関しても、会員各社・保険代理店の実務対応を的確なものとするため、同PTにおいて課題整理や情報連携などを進めていくこととしています。

イ. 国際的な動向への対応

 金融安定理事会(FSB)や保険監督者国際機構(IAIS)などの国際機関において、金融機関に対する新しい国際的制度・規制の議論が進められています。
 現在、「国際的な保険資本基準(ICS)」を含めた資本規制の策定検討が進んでおり、損保協会では、影響度調査の結果や国際会計基準の進展などを考慮して、基準を適宜見直していくべきである旨の意見表明を行っています。

3.おわりに

 協会長としての任期も残り3か月となりました。
 2014年は、4月から消費税が5%から8%に変更される中で、金融政策や財政政策 だけでなく、政府の成長戦略が本格的な実行局面に入るという非常に重要な年となります。
 損害保険業界としましても、お客さまのニーズをしっかりと捉え、より良い保険商品やサービスの提供を通じて、日本経済の成長、ひいてはより良い社会の実現に貢献していきたいと考えています。
 引き続き、皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

以 上

2014年3月 協会長ステートメント(PDFファイル)