協会長ステートメント

会長  櫻田  謙悟


(2014.9.18)

 本年6月に協会長に就任して以降の主な活動や出来事につきまして、ご報告するとともに所感を申し上げます。

1.はじめに

 報告に先立ちまして、平成26年8月豪雨をはじめとした自然災害により亡くなられた方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害にあわれた皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。

 損害保険が、被害にあわれた皆さまの復旧に役立つものとなりますよう、迅速かつ適切な保険金のお支払いに引き続き全力を尽くしてまいります。

2.これまでの取組状況と今後の課題

(1)社会的損失の低減に向けた取組み 〜安全・安心な社会への貢献〜

ア. 保険金詐欺、不正請求防止の取組み

 保険金詐欺や不正請求など、保険制度を悪用した行為を防止するため、業界共通の保険金不正請求データの充実、不正行為関係者のネットワーク分析システムの活用を推進しています。また、2015年度に運用開始を予定している不正請求疑義事案の検知を目的とした保険金請求歴表示システムの開発にも取り組んでいます。
 損害保険協会では、引き続き、より実効性ある不正請求防止へ一層の体制整備を進めてまいります。

イ.「盗難防止の日」の取組み 

 損害保険協会は、4省庁、19民間団体で構成される「自動車盗難に関する官民合同プロジェクトチーム」に2001年から民間側事務局として参画し、イモビライザ(盗難防止装置)の普及促進などに継続的に取り組んでいます。
 また、損害保険協会では2003年から毎年10月7日を「盗難防止の日」と定め、全国で自動車の盗難防止に関する啓発活動を実施しています。
 本年1月から7月までの自動車盗難認知件数は9,157件と前年同時期に比べ27.9%の減少となりましたが、特定の地域では依然として多発しており、継続的な取組みが重要になります。本年の「盗難防止の日」においても、警察や日本損害保険代理業協会と連携し、全国各地の街頭で啓発チラシの配布を行うなど、自動車盗難防止に関する啓発活動を展開します。

ウ.地震保険の普及に向けた取組み

   地震保険の理解と普及促進のため、本年度も11月以降、順次、テレビ・新聞・インターネット・ラジオなどを通じた広報活動を展開します。地震保険は、政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であり、被災者の生活の安定に重要な役割を果たします。
 本年度は、家財を補償する地震保険が、住宅ローンを利用されている方にとって生活再建の費用の一助となることを訴求した専用のチラシを作成し、会員会社を通じてご案内しています。

(2)わかりやすさの向上に向けた取組み  〜より深くご理解いただくために〜

ア.高齢者に対する適切な取組み

 超高齢社会においては、高齢のお客さまに対するより丁寧な対応が求められています。損害保険協会では、本年6月に「高齢者に対する保険募集のガイドライン」を策定し、高齢のお客さまに対する一層の募集品質の向上を推進しています。
 超高齢社会が本格的に到来する中で、損害保険業界が果たすべき役割について、引き続き課題整理を行ってまいります。

イ.募集品質向上の取組み

 損害保険協会が認定する最高峰の募集人資格である「損害保険トータルプランナー」が、本年6月の認定開始以降、8月末までに8,189名誕生しました。
 全国では、約200万人の損害保険募集人が、お客さまの窓口となり損害保険商品のご説明やご契約手続きなどを行っています。損害保険協会では、損害保険募集人が、損害保険の募集に関する知識や業務の一層のステップアップを目指す仕組みとして「損害保険大学課程」を実施しており、1年間の教育を受けたうえで試験に合格した損害保険募集人が、「損害保険トータルプランナー」に認定されます。
 なお、損害保険協会のホームページにおいて、本年9月から損害保険トータルプランナーが所属する損害保険代理店のご案内を行っています。

(3)環境整備に向けた取組み 〜より健全で安定的なサービス提供のために〜

ア.改正保険業法、民法改正などへの対応

 お客さまの意向を把握する義務や情報提供義務、保険募集人に対する体制整備義務などが盛り込まれた改正保険業法の成立を受け、現在、当局において具体的実務を規定する政省令や監督指針の改正作業が進められています。損害保険協会では、これら新設される義務について、あらかじめ想定される実務的課題の整理を進めてまいります。また、各社が既に取り組んでいる代理店使用人の適正化については、契約形態の調査と並行して、雇用の形態への移行や、管理・教育の充実などの適正化を進めています。
 本年8月には、法制審議会の民法(債権関係)部会において、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」が決定されました。契約に関する基本的な規律として100年以上にわたり維持されてきた「債権法」の改正に向けた今般の提案は、特に変動制となる法定利率を損害賠償額算定にかかる中間利息控除に用いることとする点な ど、損害保険の実務にさまざまな影響をもたらし得るものです。これまでは損害保険協会として、賠償実務上の混乱を回避するために、変動の頻度や見直し時の計算方法などへの配慮が必要なことなどの意見反映に努めてまいりましたが、今後も、要綱確定に向けた審議の状況を確認しつつ、実務における適切な対応に向けて取り 組んでまいります。

イ.アジア諸国へのインフラ支援

 本年9月2日から3日まで、バンコクにおいて日本国際保険学校(ISJ)の海外セミナーを開催しました。損害保険協会では、東アジア諸地域に対する保険技術協力・交流プログラムとして、1972年から毎年、ISJを開催しています。東京で開催している一般・上級コースには、現在まで延べ1,834名の損害保険会社役職員、保険監督者が参加するなど、東アジア各国の損害保険事業の発展に貢献しております。
 なお、本年10月には、財務省が金融庁、日本銀行と連携をとって取り組んでいるカンボジア・ラオス・ミャンマー・ベトナムの保険監督者向けの技術支援プログラムへの講師派遣を行います。

ウ.平成27年度税制改正要望

 本年7月に「平成27年度税制改正要望」を取りまとめ、関係各省庁に要望しました。重点項目として「受取配当等の二重課税の排除」を要望するとともに、「損害保険に係る消費税制上の課題解決」などの要望を掲げ、実現に向けて取り組んでまいります。
 「受取配当等の二重課税の排除」については、諸外国でも広く導入されている法人の受取配当等の益金不算入制度において、我が国の株式保有者にとって不利のない取扱いとなるよう、益金不算入割合を引き上げることを要望しています。
 「損害保険に係る消費税制上の課題解決」については、消費税率の引き上げに伴って拡大する、「税の累積」や「税の中立性の阻害」などの、損害保険に係る消費税制上の課題を解消する抜本的な対策を検討することなどを要望しています。  

3.おわりに

 損害保険協会では、2015年度が初年度となる第7次中期基本計画の策定にあたり、諸課題の検討のためのプロジェクトチームを7月に設置しました。
 超高齢社会や自然災害、新たな技術革新への対応など、損害保険事業を取り巻く現在の環境や、5年・10年先の環境変化とその影響を見据えつつ、損害保険業界として取り組むべき課題や損害保険協会が果たすべき役割、取組み推進のために必要な態勢などについて、中長期的な視点も含め検討を進めているところです。

 引き続き、皆さまのご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

以 上

2014年9月 協会長ステートメント(PDFファイル)