協会長ステートメント

会長 原 典之


(2017.9.21)

協会長に就任して約3か月が経過しました。その間の主な活動や出来事につきまして、ご報告するとともに所感を申し上げます。

1.はじめに

原 典之

 7月に発生した九州北部豪雨をはじめとして、大雨による被害が相次ぎました。また、先日発生した台風18号は、史上で初めて、九州・四国・本州・北海道の四島に上陸し、全国に亘り大きな被害をもたらしました。
 ご報告に先立ち、これらの災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。

 損害保険業界においては、安心・安全な社会を支えるインフラとしての役割・使命を果たすべく、被害に遭われた皆様への迅速かつ適切な保険金のお支払いに、引き続き全力を尽くしてまいります。

2.これまでの取組みについて

(1)自然災害に対する取組み

 ア.地震保険の普及促進

 首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の発生が懸念される中、地震保険の普及促進は損害保険業界の社会的使命の一つとなっています。地震保険の付帯率は2016年度末時点で62.1%(前年比1.9ポイント増)と増加傾向にありますが、より一層の普及促進に向け、様々な取り組みを実施しています。

ア)地震保険の広報活動
 地震保険の理解と普及促進のため、8月27日から地震保険の広報活動を開始しました。「地震保険は、家だけの保険じゃない。家族の保険なんだ。」をキャッチコピーとして、新聞、テレビ、ラジオなどのマスメディア広告やポスター等を通じて全国の皆さまへのPR活動を進めていきます。

イ)自治体との共同取組み
 本年6月に、茨城県や諸団体と共同で「茨城県地震保険・共済加入促進協議会」を設立するとともに、同協議会で地震保険・共済加入促進キャンペーンを実施し、地震保険の啓発リーフレット等を配布して地震保険への加入を呼びかけました。また、7月には長野県でも「信州地震保険・共済加入促進協議会」を設立しました。巨大地震に対する関心が高まる中、自治体においても地震保険の位置づけの重要性は増していると考えられ、引き続き自治体との連携に向け、関係各方面への働きかけを強化していきます。

ウ)地震保険啓発イベントの開催
 9月〜12月に、日本最大級"家族参加・体験型"防災イベント「みんなの防災+ソナエ」に協賛して、全国12か所のイオンモールで地震保険の啓発イベントを開催します。会場では「地震ザブトン」を使った地震の疑似体験のほか、緊急連絡先等を記載する携帯用のカードにご家族の写真を印刷してお渡しするなど、地震に対する意識を高めていただく企画を用意しています。既に2か所で開催し、いずれも多くの皆さまにご参加いただきました。本イベントを契機にして、一人でも多くの方が地震保険にご加入いただけるよう、引き続き取り組んでいきます。

 イ.防災・減災に向けた取組み

 全国各地で自然災害をテーマとした防災・減災の取組みを進めています。一例として、7月には、南海トラフ巨大地震等が懸念される名古屋で「親子で学ぶ防災・減災ピクニック」を開催し、地震のメカニズムや防災の知識などを、親子で楽しみながら学んでいただきました。また、9月には大学生等を対象とした「防災リーダー講座」を東京で開催しました。このプログラムは、災害発生時だけでなく、平時でも地域での防災活動等で活躍いただける人材の育成を目的としたものです。引き続き全国各地で、地域の実態にあわせたプログラムを提供していきます。

(2)グローバル化への取組み

 ア.国際海上保険連合(IUMI)総会の開催

 9月17日から20日まで、国際海上保険連合(IUMI)の年次総会が東京で開催されました。IUMIは42か国・地域の保険協会等によって構成される海上保険に係る連合組織であり、日本での総会開催は2006年以来11年ぶりになります。当日は35か国から約630名が参加し、様々なワークショップが開催されました。現在、海上保険事業は、テロ危険や保護主義の高まり、原油価格の下落等の変化に直面しており、重要な変革期にある海上保険事業の更なる発展に資するために、本総会等を通じて、引き続き各国海上保険事業者との連携を深めていきます。

 イ.海外保険協会との交流

 協会長に就任後、海外関係機関との連携を強化すべく、7月に英国保険協会を訪問し、英国の洪水保険制度や日本の地震保険制度などについて情報交換を行いました。また、8月にはインドネシア損害保険協会を訪問し、自然災害リスクに対する同国の課題などについて意見交換を行いました。いずれにおいても、両協会間の良好な関係を確認することができ、また、より一層関係を深めることができたと感じています。

 ウ.アジア諸国に対するインフラ支援の取組み

 9月27日より、インドネシアでISJの海外セミナーを開催します。ISJ は東アジア諸地域に対する技術援助として開講している国際的保険研修プログラムであり、海外セミナーは1993年から20年以上に亘って開催し、これまでに延べ4,923名に参加いただいています。今回の海外セミナーでも、地震保険や統合リスク管理など幅広いテーマに関して、我が国の制度・ノウハウ等をご紹介します。
 また、昨年度に海外セミナーを開催したミャンマーにおいては、現在、保険協会設立の検討が進んでいます。国内関係機関とも連携し、今年度も引き続き我が国のノウハウ提供に向けた取組みを進めていきます。

(3)保険犯罪への取組み

 ア.不正請求防止に向けたシステム対応

 来年度より運用開始を予定している不正請求疑義事案の検知を目的とした保険金請求歴表示システムについて、具体的な要件を固め、開発に着手しました。
 また、既存システムである不正請求に関する業界共通データベースについては会員各社による登録情報が着々と増加しています。保険金詐欺や不正請求の防止にはシステムやデータの整備が重要であり、引き続き業界を挙げて取組みを進めていきます。

 イ.特定修理業者への対応

 住宅の修理に関して、特定の修理業者が消費者に、保険で修理するよう持ち掛けてトラブルとなる事例が発生しています。中には、保険で支払対象とならない老朽化による損害について、台風等の虚偽の原因を作出して不正請求を促す事例もあり、当協会ではチラシを作成して注意を呼び掛けています。9月には、台風シーズンに先立ち、直近の実態等を反映させて本チラシの改訂を行い、全国の消費生活センターへ配付しました。当協会ホームページにも掲載し、広く注意喚起を図っていきます。

(4)業務品質の向上に向けた取組み

 ア.損害保険トータルプランナーの増加に向けた取組み

 損害保険募集人として最高峰の資格を有する「損害保険トータルプランナー」は、2014年6月の認定開始以降着実に増加し、本年8月末現在で、前年比+804名の11,566名となりました。当協会による情宣や魅力向上策の実施に加え、会員各社においても、損害保険トータルプランナーの認定取得に向けたインセンティブを強化する例が増えています。高品質な募集活動がさらに広がるよう、損害保険トータルプランナーのより一層の増加に向けた取組みを進めていきます。

 イ.口座登録用端末の共同開発

 お客さまが会員会社との間で口座振替方式によりご契約を締結される場合に、よりスムーズに銀行口座をご登録いただくために、会員会社が共同で、損害保険業界共通の口座登録用端末を開発しました。本端末を利用する会員会社においては、これまでのように口座振替申込書に記名・捺印することなく、お客さまのキャッシュカードを本端末に通すだけで口座登録が完了しますので、お手続きが一層便利になります。来年3月からの利用開始に向け、本端末を利用する会員会社において、順次準備を進めていきます。

(5)交通安全・防犯に関する取組み

 ア.高齢者交通事故の防止に向けた取組み

 当協会では、近年社会問題となっている高齢者による交通事故の防止・減少に向け、過去における高齢者の事故実態を分析し、警察庁および専門家のご協力のもと、交通事故防止啓発チラシなどのツールを作成しています。これらのツールを活用し、警察や自治体等とも連携のうえ、全国各地で交通安全の取組みを実施しています。
 また、当協会は全国地方新聞社連合会と連携して、全国47都道府県における人身事故の多発交差点を調査し、「全国交通事故多発交差点マップ」としてホームページ上で公表しています。9月には本データを最新版に改訂するとともに、新たにドライバー向けの安全運転診断のページも用意しました。より多くの方にご覧いただけるよう、情報の周知を図っていきます。

 イ.自動車盗難防止の取組み

 当協会では2003年から、毎年10月に自動車盗難防止に向けた啓発活動を実施しています。本年1月から7月までの自動車盗難認知件数は6,070件と、前年同時期に比べて16.3%減少しましたが、特定の地域では依然として多発しており、継続的な取組みが重要になります。本年は10月6日に、警察や日本損害保険代理業協会と連携し、全国各地の街頭で啓発チラシの配布を行うなど、自動車盗難防止に関する啓発活動を展開します。

(6)その他の取組み

 ア.当協会創立100周年記念イベントの開催

 当協会創立100周年の節目にあたり、会員会社および行政・業界団体とともに損害保険業界の将来を展望することを目的として、11月6日に記念イベントを開催します。当日は保険分野に加え、社会経済分野・科学技術分野の専門家をお招きし、パネルディスカッション形式でこれからの損害保険業界のあるべき姿を考えます。これからも、社会とともに損害保険業界が成長していけるよう、有意義なイベントにしたいと考えています。

 イ.平成30年度税制改正要望

 本年7月の理事会において「平成30年度税制改正要望」を取りまとめ、関係省庁へ要望しました。今回の要望では「国際課税ルールの改定における対応」を重点要望項目としています。近年、会員各社においてもグローバルな事業展開を行う会社が増えています。我が国の損害保険業界が国際社会において存在感を発揮していくには、国際課税ルールの改定において損害保険ビジネスの実態を踏まえた手当てを行っていただくことが不可欠であり、要望の実現に向け、関係各方面に対して働きかけを行っていきます。

3.おわりに

 当協会の「第7次中期基本計画」は本年度が最終年度であり、総仕上げに向けて、就任からこの3か月、着実に取組みを進めてきました。引き続きスピード感をもって取り組んでいきます。

 また、2018年度から始まる「第8次中期基本計画」の策定に向け、諸課題の検討を行うためのプロジェクトチームを7月に設置しました。当協会設立から今日に至る過去100年の成長の歩みに、技術革新や人口動態・自然環境とともに変わるであろう社会の姿を重ねると、これからの時代は「環境変化への対応」「顧客本位」「制度の健全性強化」「国際連携」という4つの方向性が重要になります。このキーワードに沿って、現在、損害保険業界として取り組むべき課題や当協会が果たすべき役割などを中心に議論を行っています。新しい時代の「基礎固め」の計画となるよう、フォワードルッキングな検討を進めていきます。

 引き続き、皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願いします。

以 上

2017年9月  協会長ステートメント(PDFファイル)