年頭所感

一般社団法人 日本損害保険協会
会長  原 典之


(2018.1.1)

 新年あけましておめでとうございます。

 2018年を迎えるにあたり、年頭のご挨拶を申し上げます。

1.はじめに

 我が国の経済は、世界経済が緩やかに成長を続ける中、緩和的な金融環境と政府の経済対策等により回復基調にあります。北朝鮮を中心とした地政学リスクの高まりなどに注視が必要ではありますが、国内では2020年の東京オリンピックを見据えた需要拡大なども期待され、2018年も緩やかな景気回復が継続することが見込まれるところです。
 一方、中長期的な観点では、急速に進展する少子高齢化により、我が国の労働力人口は減少することが見込まれます。労働参加率の向上とともに、生産性向上に向け、AIやビッグデータ等のイノベーションを社会全体に広げていくことが大きな課題であると認識しています。また、近い将来に発生が見込まれる南海トラフ巨大地震や首都直下地震、また、局地化・集中化・激甚化する傾向にある豪雨など、自然災害への対策の重要性も一段と高まっています。
 損害保険業界といたしましては、こうした社会の課題に対して、リスクの専門家という立場から高品質なソリューションを提供し、安心・安全な社会づくりを下支えすることにより、我が国の持続的な成長に貢献していきます。

2.本年の主な取組み

(1)中期基本計画に関わる取組み

 2018年は、「第7次中期基本計画(2015年度〜2017年度)」を終了し、「第8次中期基本計画(2018年度〜2020年度)」を開始する重要な年になります。
 第8次中期基本計画は、損害保険業界が目指すべき方向性を「環境変化への迅速・的確な対応」「お客さま視点での業務運営の推進」「より強固で安定的な保険制度の確立」「国際保険市場におけるさらなる役割の発揮」の4つに整理し、それぞれにおいて、今後3年間で当協会として重点的に取り組むべき課題を決定いたしました。本年4月より同計画を着実に実行すべく、具体的な内容の策定を急ぐとともに、現計画の完遂に向けて取組みを加速していきます。

(2)「お客さま本位の業務運営」に資する取組み

 当協会では、保険募集や保険金支払いなど、保険会社が行う様々な業務について、会員各社の参考として、具体的な運営基準などをガイドラインとして定めています。本年は、このガイドラインについて、今日的観点から検証を実施するとともに、会員各社の優れた取組みを収集し、業界全体で共有いたします。これらの取組みを通じて、会員各社の業務運営の品質を高め、業界全体のレベルアップを図っていきます。
 また、引き続き日本損害保険代理業協会と連携し、最高峰の募集人資格を有する「損害保険トータルプランナー」の増加を促し、業界全体の募集品質を高めていきます。

(3)より強固で安定的な地震対応体制の構築

 損害保険業界では、東日本大震災の経験等を踏まえ、巨大地震であっても迅速、かつ適切に保険金を被災者の皆さまにお届けできるよう、現場立会調査におけるモバイル端末の活用や、損害状況の自己申告方式の拡大などの取組みを進めてきました。
 本年は、会員各社と連動した当協会の事業継続計画を見直すことにより、巨大地震発生時の対応体制をより強固で安定的なものにいたします。具体的には、会員各社が迅速に保険金の支払い態勢を整え、重要業務を安定的に稼働できるよう、当協会が優先して対応する業務を明確化するとともに、事業継続計画に関する教育・訓練の実施計画や見直し・改善の実施計画も策定し、全体のマネジメント態勢を強化いたします。

(4)アジア諸国に対する保険技術支援

 アジアの損害保険市場の健全な発展に向け、本年も引き続き、アジア諸国に対する保険技術支援の取組みを進めていきます。
 昨年11月に、当協会と協力関係の覚書を締結することに合意したASEAN保険協会については、早期に覚書の内容を確定のうえ締結し、具体的な技術支援等の取組みを進めていきます。また、正式に保険協会が設立されたミャンマーにおいては、同協会が健全な市場形成に向けて適切な役割を果たせるよう、引き続き関係機関等と連携して我が国のノウハウを提供することにより、関係を強化していきます。

3.おわりに

 近年、「ディスラプション」という言葉をよく耳にするようになりました。もともとは「破壊」を意味する言葉ですが、デジタル技術等を活用した新しい商品やサービスが生まれる中、「新たな価値を生み出すための破壊」という意味を表す言葉として、注目を集めています。奇しくも、2018年の干支である「戊戌(つちのえいぬ)」は、ディスラプションと同じように「成長」と「衰退」という2つの意味を併せ持ちます。本年は、ディスラプションにより、社会が一層便利に生まれ変わる年になるのかもしれません。損害保険業界といたしましては、そうした社会の変化を後押しすべく、引き続き業界一丸となって取組みを進めていきます。
 最後になりますが、皆さまの一層のご支援・ご協力をお願いいたしますとともに、本年が皆さまにとって素晴らしい1年になりますよう心よりお祈り申し上げます。

以 上