協会長ステートメント

会長 原 典之


(2018.3.15)

協会長に就任して約9か月が経過しました。昨年12月の定例会見以降の主な活動や出来事につきまして、ご報告するとともに所感を申し上げます。

1.第8次中期基本計画の決定

原 典之

 本日の理事会において、2018年度から開始する「第8次中期基本計画(2018年度〜2020年度)」を決定しました。本計画は、創立100周年を迎えた当協会が、新たな時代へ次の一歩を踏み出す指針となります。
 損害保険業界が、これからも「リスクの担い手」として社会的役割を発揮し、持続的に成長していくために、過去100年の振り返りと今後の環境予測等を踏まえ、目指すべき方向性を次の4つに整理しました。そして、それぞれの方向性において、当協会として重点的に取り組むべき課題を明確化しました。4月より、業界一丸となって課題解決に向けた取組みを推進していきます。

(1)環境変化への迅速・的確な対応

 IT技術等の進展に伴い、社会は大きく変化しつつあり、そのスピードもますます速まっています。また、社会を脅かすリスク自体も変貌しつつあります。そのような環境変化に迅速・的確に対応し、安心・安全な社会の形成やお客さまの利便性向上を図っていきます。
 具体的な課題として「技術革新への対応」に取り組みます。例えば自動運転などの新技術について、損害保険業界として適切な態勢整備を進めていきます。また、サイバー攻撃、テロ等の新たなリスクや自然災害の激甚化など、「多様化・巨大化するリスクへの対応」にも注力し、防災・減災の取組みや新しいリスクの調査・研究を深めていきます。さらに「超高齢化など社会環境変化への対応」にも取り組んでいきます。高齢者の交通事故防止などに努めるとともに、ダイバーシティ等の社会変化にも向き合い、持続可能な社会の形成に寄与する施策を進めていきます。

(2)お客さま視点での業務運営の推進

 お客さまによりご満足いただくため、保険会社や代理店の業務品質を高めるとともに、お客さまの理解促進を図っていきます。
 会員各社の好事例の共有やガイドラインの見直しなどにより、「保険会社・代理店の業務品質の向上」を図ります。また、わかりやすい情報提供や、学習の場を設けることにより「お客さまのリスク意識の啓発」を進めるとともに、「お客さまとの対話強化」に努め、当協会や会員各社に寄せられるお客さまの声から、的確にニーズを把握し、取組みに反映させていきます。

(3)より強固で安定的な保険制度の確立

 損害保険が将来に亘って社会的な役割を発揮していくため、保険制度の安定性と保険契約者間の公平性を一層高めていきます。
 保険金支払いという損害保険の最も基本的な機能を確実に発揮するため、今後想定される大規模地震等を念頭に損害調査態勢を強化するなど、「大規模地震の発生に備えた態勢整備」を一層推進します。また、保険制度の健全性を確保するため、「不正請求防止対策の強化」にも注力していきます。不正請求を防止するためのシステムの構築・活用を進めるとともに、外部専門家との共同研究等により知見を増やし、不正請求の防止対策を強化します。

(4)国際保険市場におけるさらなる役割の発揮

 グローバル化が進む損害保険市場において、わが国の損害保険業界が着実な成長を遂げて社会に貢献していくため、発言力や信頼性の向上を図っていきます。
 保険監督規制等について、「国際基準への適切な対応」を進めていきます。国内外の関係機関と緊密に連携しながら適切な意見発信を行うとともに、国際基準と調和した国内基準の策定に向け、関係当局等と緊密な意見交換を重ねます。また、わが国の損害保険会社の海外進出を後押しすべく、「各国市場における競争条件の公平・公正化への対応」に取り組みます。このほか、アジア地域における損害保険市場の安定と発展および信頼向上のため、わが国の知見を活かして、「新興国市場に対する各種支援の強化」も進めます。

2.これまでの取組みについて

(1)自然災害に対する取組み

 ア.防災・減災に向けた取組み

 昨年の九州北部豪雨など、気象災害が激甚化する中、気象庁・地方気象台の協力を得た防災・減災の取組みを進めています。
 本日、当協会のホームページに、新たに「そんぽ防災Web」をオープンしました。このWebサイトは、防災情報に関するポータルサイトであり、当協会が提供している防災コンテンツはもちろん、様々な防災情報にアクセスできます。また、気象庁と損害保険料率算出機構の協力を得て、過去の風水害の被災状況と支払保険金に関するデータベースを構築し、同Webサイト上で公開しています。どのような風水害で、どの程度の保険金をお支払いしたかは、今後の対策等において、具体的な被害をイメージするうえで役立つものと思います。損害保険業界ならではの切り口で、防災に有益な情報を皆さまにご提供していきます。
 また、1月には茨城県で、2月には広島県で、それぞれ地方気象台の協力を得て講師をお招きし、当協会主催の防災イベントを開催しました。一方、2月に東京で開催された気象庁主催の体験型防災イベント「大地震へのソナエ」には、当協会が協力機関として参画し、幼児向け防災カードゲーム「ぼうさいダック」や小学生向け防災安全教育プログラム「ぼうさい探検隊」を紹介しました。引き続き、気象庁やその他関係団体と連携し、情報やノウハウを有効活用するなど、防災・減災について効果的な取組みを進めていきます。

 イ.地震保険の普及促進

 自治体の防災取組み等と連動する形で、地震保険の加入を呼びかける取組みを各地で進めています。
 本年2月には横浜市と共同で「地震・防災フォーラム in よこはま」を開催し、約400名の方にご参加いただきました。横浜市による町の防災組織の事例発表の後、当協会より「地震保険の機能と役割」と題した講演を行い、地震保険による備えを呼びかけました。このほか、パネルディスカッションにも登壇し、地震に対する事前準備の重要性を訴えました。
 また、長野県でも2月に、当協会がメンバーとして参画する「信州地震保険・共済加入促進協議会」の主催により「しあわせ信州防災セミナー 地震から命と暮らしを守るために」を行い、地震への備えを呼びかけました。引き続き、地域の地震リスクの啓発から地震保険の加入へと結び付けていく取組みを推進していきます。

 ウ.当協会の事業継続計画(BCP)の見直し

 当協会では、地震などの大規模災害が発生した場合に、会員各社および当協会の業務を継続するとともに、早期復旧を図るための事業継続計画を定めています。巨大地震等の発生懸念が高まる中、本計画について、より実践的で実効性のあるものとすべく、内容を大きく見直しました。
 地震等が発生し、東京の本部機能が停止した場合に、優先的に取り組む「重要業務」を「地震保険の損害調査」などの3業務に明確化するとともに、近畿支部が行う代替業務を大幅に拡充・整備することにより、首都直下地震等について、よりスムーズに業務が継続できる態勢としました。また、地震等が発生した場合の計画だけでなく、教育・訓練の実施計画等も規定し、事業継続全体のマネジメント態勢を整備しました。今後見込まれる有事において、本計画が確実に機能するよう、協会内および業界内での定着を図っていきます。

(2)グローバル化への取組み

 当協会は、1月15日開催のミャンマー保険協会の設立記念式典にあわせ、同協会と協力関係の覚書を締結しました。同協会の設立にあたっては、これまで、関係機関と連携してワークショップやセミナーを開催するなど、各種支援を行ってきました。今回の覚書締結は、そうした取組みによって築かれた両国の良好な関係を、今後一層強化していくことを目的としたものです。覚書では、日本の技術・経験を提供することにより、ミャンマーにおける損害保険市場の健全な発展を促していく旨を定めています。当該覚書に基づき、当協会では、同国の保険市場の現状を的確に把握し、ニーズに合致した具体的な支援策を引き続き提供していきます。
 また、引き続き海外保険協会との関係強化にも努めており、本年1月には私がタイ損害保険協会を訪問しました。私の海外保険協会への往訪は、英国、インドネシア、マレーシアに次いで4か国目となります。タイ損害保険協会長と、日本の自動車保険ノンフリート等級制度などについて意見交換を行い、今後も両協会の緊密な関係を深めていくことを確認しました。当協会が国内外で存在感を発揮していくため、引き続き関係機関とのコミュニケーションを強化していきます。

(3)業務品質の向上に向けた取組み

 当協会では、業界の募集品質を向上させる観点から、当協会が認定する募集人資格の最高峰「損害保険トータルプランナー」を増加させるべく、取組みを進めています。
 募集人が損害保険トータルプランナーとして認定されるには、当協会が実施する「損害保険大学課程」の「コンサルティングコース」教育プログラムを修了し、試験に合格する必要があります。当協会では、損害保険トータルプランナーの増加に向け、コンサルティングコースの受講勧奨を行ってきました。その結果、本年4月開講のコンサルティングコースの受講申込者数は、昨年度から476名増加し、過去最高の2,235名となりました。
 損害保険トータルプランナーは、2014年6月の認定開始以降、着実に増加し、2018年2月末時点で11,338名となりました。高品質な募集活動がさらに広がるよう、今後も引き続き、損害保険トータルプランナーの周知活動や認定取得に向けた魅力向上に取り組んでいきます。

3.おわりに

 協会長としての任期も残すところ、約3か月となりました。
 この3月に、現在の「第7次中期基本計画」を締めくくり、4月からは「第8次中期基本計画」をスタートさせていきます。当協会設立から101年目を迎え、新たな時代に次の一歩を踏み出した損害保険業界が、更なる飛躍を実現できるよう、スピード感を持って本計画を進めていきます。
 引き続き、皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願いします。

以 上

2018年3月  協会長ステートメント(PDFファイル)

別紙1 第8次中期基本計画(PDFファイル)

別紙2 そんぽ防災Webトップページ(PDFファイル)

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