協会長ステートメント

会長 西澤 敬二


(2018.12.20)

 協会長に就任して約6か月が経過しました。その間の主な活動や出来事につきまして、報告するとともに所感を申し上げます。

1.はじめに

 この1年を振り返りますと、今年の漢字「災」が表すとおり、全国各地で発生した災害への脅威を日本全体が痛感するとともに、防災や減災に対する国民の意識が高まった年となりました。11月7日の参議院本会議では、災害からの復旧費用を柱とする総額9,356億円の第1次補正予算が全会一致で可決・成立するなど、国を挙げての復旧・復興の取組みが進んでいます。また、損害保険業界では、12月11日現在、大阪府北部を震源とする地震、平成30年北海道胆振東部地震については、合計1,371億円、平成30年7月豪雨、平成30年台風21号、平成30年台風24号については、見込み額を含め合計1兆1,757億円の保険金を被害に遭われたお客さまにお届けしてまいりました。引き続き、業界を挙げて全力で保険金のお支払いに取り組むとともに、被災された方々が一日も早く日常生活を取り戻していただけるよう、心より祈念いたします。
 経済面においては、最新の国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しや日本政府による2019年度の経済成長見通しにおいて、貿易摩擦の高まり等への懸念を背景に、成長率予測が下方修正されたものの、現状では、国内外ともに緩やかな成長は続くと見込まれています。一方で、政治的・地政学的に注視すべき様々な課題が世界中で表面化する中、リーマンショック以降の長い景気拡大局面の転換点が意識され始めており、あらゆる業界や企業において、環境変化に備えた持続的な成長に資する取組みを進めていくことが求められています。

2.これまでの取組みについて

(1)SDGs達成への貢献に向けた取組み

ア.行動規範の改定等全般の取組み

 当協会は、本日開催の理事会において、会員各社やその役員・社員が尊重すべき基本原則および行動指針を定めた「行動規範」の改定を決定しました。今回の改定においては、少子高齢化、大規模自然災害の発生・増加、テロやサイバーリスクなどの新たなリスクの増大をはじめ社会環境が大きく変わる中、損害保険事業の使命を全うし、社会からの信頼と期待に応えるとともに、損害保険事業の健全な発展および信頼性の向上を図るため、事業運営にあたって実践していく事項を明確化しました。
 また、当協会ホームページ内にSDGsに関する特設ページを開設し、当協会の取組みとSDGs17目標との関係を整理した資料等を紹介しています。
 来年1月23日には、一般社団法人生命保険協会と共同で「SDGsフォーラム」も開催します。引き続き、当協会を中心に、損害保険業界全体で推進すべき新たな役割発揮に資する取組みについて、具体化に向けた検討を進めてまいります。

イ.自然災害に対する取組み

(ア)火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実に向けた取組み

 当協会は、「火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実」を税制改正要望の重点項目としていましたが、12月14日に公表された与党の「平成31年度税制改正大綱」において、要望に沿った内容で異常危険準備金の無税積立率を現行の5%から6%に引き上げる措置が盛り込まれました。

(イ)防災・減災に向けた取組み

 10月13日から2日間にかけて開催された、防災に関係する団体が一同に会する総合イベント「防災推進国民大会2018」および「東京都防災展2018」において、当協会は、防災啓発や防災教育、地震保険などの備えの重要性への理解促進を目的に、首都直下地震をテーマとしたパネルディスカッションと演劇を実施しました。その他にも、11月17日には、日本災害復興学会との共催による災害からの生活復興をテーマとするシンポジウムの開催、12月15日には、大地震への備えをテーマとする防災特別番組の放映など、防災・減災の啓発に取り組みました。
 また、各地域においても、毎年、地震保険の啓発・普及を目的に、主に代理店を対象とした地震保険セミナーを開催しており、本年度も全国11支部にて順次開催してまいります。

(ウ)ぼうさい探検隊の取組み

 当協会では、2004年から継続して、子どもたちを対象とした安全教育プログラムである「ぼうさい探検隊」を実施しており、今年の10月に、その実践的な防災教育としての有効性と地域防災力向上への貢献が評価され、日本災害情報学会の「廣井賞」を受賞しました。また、来年1月26日には、15回目という記念すべき節目を迎える「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」の記念式典・表彰式が行われます。これまで、参加した延べ18万5千人を超える児童から約2万7千もの作品の応募があり、子どもたちの提言・要望が、実際にまちの危険箇所の改善につながった事例もあることから、引き続き、これらの取組みを通じて、安心・安全なまちづくりに貢献してまいります。

(エ)軽消防自動車、高規格救急自動車等の寄贈に関する取組み

 当協会では、地域防災力の強化や救急医療体制の整備を目的に、軽消防自動車や高規格救急自動車等を全国各地に寄贈してきましたが、今年度より、渋滞の多い都市部や進入が困難な山間部での活動を可能とする消防活動二輪車を新たに寄贈品に追加しました。本年11月には新たに19台を寄贈し、これまでの累計寄贈台数は5,108台となりました。

(2)Society5.0実現への貢献に向けた取組み

ア.サイバーセキュリティの強化等ニューリスクに関する取組み

 Society5.0の実現に向けてサイバーセキュリティの強化が求められる中、当協会は、企業のサイバーリスクへの対応状況やサイバー保険の認知状況等の把握を目的に、国内企業を対象としたアンケート調査を実施しています。本調査結果を活用し、企業のサイバーセキュリティ強化に向けた啓発活動および損害保険業界の一層の対応力強化に役立ててまいります。

イ.新技術を活用した業務共通化・標準化に向けた取組み

 当協会は、お客さまの利便性向上や代理店・保険会社の業務効率化に向け、新技術の活用に関する基礎的な研究を行うとともに、共通化・標準化の候補案件を精査しました。今後、案件ごとに実現可能性を見極めた上で、具体化に向けた検討を進めてまいります。

(3)各種課題への取組み

ア.国際基準等への適切な対応

 保険監督者国際機構(IAIS)における国際保険監督基準の議論において、グローバルなシステム上重要な保険会社(G-SIIs)に対する規制枠組みの見直しや国際的に活動する保険グループ(IAIG)に対する国際的な監督基準および資本基準策定の動きが大きな節目を迎えており、当協会は、10月30日にガバナンス、リスク管理などの国際保険監督基準案およびリスクベースの国際資本基準案に対し、国際的に整合する内容およびタイミングでの導入を行うべきとの意見や技術的な改善提案をIAISに提出しました。損害保険市場がグローバルベースで健全に発展できるよう、引き続き建設的な意見発信に努めてまいります。

イ.新興国市場への各種支援の取組み

 当協会では、アジア各国・地域における損害保険市場の健全な発展と成長に向けて、さまざまな取組みを進めており、11月27日には、ASEAN加盟10か国の保険協会をメンバーとするASEAN保険会議(AIC)と協力覚書を締結しました。これにより、当協会としてAICにおける論議により深く参画することが可能となり、日本およびASEANの損害保険市場のさらなる発展に向け、人的交流や情報交換の促進を含む様々な取組みを検討してまいります。

3.おわりに

 「平成」最後の年末を迎えようとしていますが、様々な政治・地政学的なリスクへの不安が世界を覆い、少子高齢化の進展や自然災害の発生・増加など私たちを取り巻く環境の不確実性が高まっており、日本の経済・社会を支える重要なインフラとして、損害保険業界に求められる役割はますます大きなものとなっています。 当協会は、これからも様々な視点から損害保険業界全体の対応力強化につながる取組みを実施し、安心・安全で持続可能な日本の未来に貢献してまいります。
 引き続き皆さまのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます 。

2018年12月 協会長ステートメント