年頭所感

一般社団法人 日本損害保険協会
会長  西澤 敬二


(2019.1.1)

 新年あけましておめでとうございます。

 2019年を迎えるにあたり、年頭のご挨拶を申し上げます。

1.はじめに

 昨年は、大規模な災害が連続して発生し、全国各地が自然災害の脅威に晒される異例な年となりました。今後も気候変動を始めとする様々な環境変化が想定される中、安心・安全で持続可能な日本の未来を確かなものとしていくためにも、損害保険業界が重要な社会インフラとしての役割を果たしていかなければならないと強く認識し、新たな年を迎えました。
 さて、今年の干支は十干十二支で言えば「己亥(つちのとい)」となり、「成長を謳歌してきた季節が終わり、大きな変化に直面し、次の発展に向けた備えをする年」の意味合いを持つと言われています。経済に目を向けますと、世界的には、リーマンショック以降の息の長い成長を謳歌しており、国内においても個人消費や設備投資の増加などを背景に緩やかな成長が続くものと見られています。一方で、保護主義的な政策運営に伴う貿易摩擦や英国のEU離脱交渉、中東等の地政学リスクなど、政治的・地政学的な事象が経済に与える影響はかつてないほど大きくなってきており、経済成長の減速感が強まりつつあります。
 このような環境の中、本年の4月から5月にかけて、今上天皇陛下のご退位と皇太子殿下のご即位という大きな時代の節目を迎えます。加えて、G20議長国である日本が、様々な分野における議論で世界をリードし、グローバル課題の解決に道筋をつける重要な役割を担う一年となってまいります。干支が示すとおり、わが国が、そして世界が、これまでの成長のストックを将来に向けたエネルギーに変え、持続的な成長軌道を確固たるものにできるよう切に願っています。

2.本年の主な取組み

 「環境変化への迅速・的確な対応」、「お客さま視点での業務運営の推進」、「より強固で安定的な保険制度の確立」、「国際保険市場におけるさらなる役割の発揮」の4つの柱を定めた第8次中期基本計画を昨年4月より推進してまいりましたが、本年も特に「持続可能な社会実現への貢献(SDGs達成への貢献)」、「技術革新の促進への貢献(Society5.0実現への貢献)」の2つの観点から取組みを着実に進めてまいります。

(1)SDGs達成への貢献

 当協会は、SDGs達成の観点から事業運営にあたって実践していく事項を明確化するため、会員各社やその役職員が尊重すべき基本原則および行動指針を定めた行動規範を昨年12月に改定しました。少子高齢化、大規模自然災害の発生・増加、テロやサイバーリスクなどの新たなリスクの増大など、社会環境が大きく変わりつつありますが、当協会を中心に、損害保険業界全体で推進すべき、新たな役割発揮に資する取組みについて、具体化に向けた検討を進めてまいります。
 また、昨年の大規模自然災害発生時の教訓を踏まえ、当協会は、政府・自治体・有識者等との連携のもと、地域特性を踏まえた防災・減災の啓発活動を強化し、地域防災力の向上を図るとともに、都道府県警等と連携し、超高齢社会に対応した交通事故防止に資する取組みにも注力してまいります。

(2)Society5.0実現への貢献

 私たちの暮らしを豊かにするためのデジタル経済・社会のあり方について、さまざまな検討が官民を挙げて進められています。当協会は、かねてより自動運転技術の調査・研究を行っていますが、昨年9月には、一般消費者向けの啓発活動の一環として、当協会のホームページに特設ページを開設しました。本年も、技術の進展状況を注視しつつ、関係省庁や団体、消費者等との積極的な交流を通じて各種課題を共有するとともに、それらの課題の解決に向けて役割を発揮してまいります。
 また、デジタル化時代にサイバーセキュリティの強化は必要不可欠となりますが、当協会では、企業のサイバーリスクへの対応状況等の把握を目的とした調査を、昨年12月に実施しました。本年もサイバーリスクをはじめとするニューリスクの研究を通じて、損害保険業界全体の対応力を一層強化してまいります。
 あわせて、お客さまのための新たな価値創造や代理店・保険会社の業務効率化に向けて、新技術の活用も視野に、業務共通化・標準化に向けた取組みを進めてまいります。

3.おわりに

 ポスト平成の新時代が幕を開けようとしています。本年は、G20大阪サミットや、ラグビーW杯、そして来年は東京オリンピック・パラリンピックと世界が注目する重要イベントが控えています。さまざまな社会的課題に直面するわが国ではありますが、それらの課題解決に向けたわが国の先進的な取組みを各国に広めていく絶好の機会が到来すると捉えることもできます。
 損害保険業界といたしましても、環境変化に着実に対応していくことで、安心・安全で持続可能な日本の未来に向けて貢献してまいりたいと考えており、引き続き、皆さまのご支援とご協力を宜しくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、本年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

以 上

2019年 年頭所感