●医師より自宅で安静にするよう指示があった
●治療・リハビリなどのために、入院や通院をした
なお、ケガのために有給休暇を取得した日も、休業日数に含まれます。痛み・症状・仕事への影響を細かく医師に伝えて適切な診断を受けるとともに、保険会社にも正確に状況を伝えることが、適切な損害賠償金を受け取ることにもつながります。
休業損害の休業日数として認められる可能性がある期間は、初診日から完治もしくは症状固定(これ以上の回復が認められない状態のこと)の診断があった日までです。期間中の就業状況や、ケガの状態・通院状況などを踏まえて算出されます。
休業損害を算定するための基準として、自賠責保険の支払基準では以下のとおり定められています。
なお、自賠責保険の支払基準により算定された損害賠償額が実態に即しておらず、十分な賠償を受けられないと判断されるケースもあるでしょう。その場合、保険会社は具体的な被害者の就業への影響などを確認して、適切な休業損害の損害賠償額を算定することとなります。
各職業や立場において、休業損害の請求に関するポイントを紹介します。
給与所得者は、原則としてこれまでの就業実績をもとに休業損害の日額を算出して、休業日数に応じて賠償されます。保険会社などから休業損害証明書の作成を求められるため、勤務先に協力してもらい、提出しましょう。
給与所得者と同様に、原則としてこれまでの就業実績をもとにした休業損害の日額を算出し、休業日数に応じて賠償されます。
収入の立証は自身で行い、原則として「事故前年の確定申告書」などの提出が必要となります。
事故が原因で休業した場合でも、役員報酬などがすぐに減額されないことから、休業損害の対象外になるケースがあります。交通事故により会社の業務に支障をきたし、結果として役員報酬が減額したと認められた場合は、その減額分が賠償されます。
家事従事者も休業損害の対象者です。交通事故により家事に従事できなくなった場合には休業損害を請求できます。
交通事故が原因で内定の取り消しがあった学生、留年し就職時期が遅れた学生などは、休業損害が認定される可能性があります。なお、学生でアルバイトをしている場合は、上記「給与所得者(会社員、公務員、パートアルバイト)」を参照ください。
業務や通勤中の交通事故である場合は、労災保険においても休業損害に対して給付金が支払われます。以下は、損害保険と労災保険の違いをまとめたものです。
休業損害に対する労災保険からの給付と損害保険からの賠償は、制度上、二重で受けることはできません。ただし、労災保険から支払われる「休業特別支給金」(20%)は、通常の労災保険からの給付(60%)と異なり、労災保険と損害保険の支払金額の調整の対象外とされています。よって、該当する事故があった場合は、両方の保険に請求することで最大120%の補償が受け取れる可能性があります。
所得税法9条1項18号にて、損害賠償金は非課税所得と定められています。よって、休業損害による損害賠償金を受け取った場合でも課税はされません。確定申告や年末調整での申告も不要です。
休業損害に対する損害賠償は、収入が減少したことに対して支払われるものです。交通事故を原因とした精神的苦痛に対する慰謝料や、後遺障害・死亡によって将来得られる予定の収入(逸失利益)とは異なります。
休業損害を請求する場合、自賠責保険支払基準の日額6,100円と、休業日数(仕事を休み治療や自宅療養した日)でおおよその請求額を見積もれます。ただし、実際の損害が日額6,100円を上回ると立証できれば、日額19,000円を限度に認定される可能性があります。休業損害の立証には、職業に応じて様々な資料を求められます。保険会社からの依頼や理由を把握し、可能な限り協力しましょう。
また、業務・通勤中の人身事故が対象の労災保険による給付とは異なるため、混同しないように注意しましょう。
休業損害は、職種や事故時の状況に応じて認定がスムーズに進まないことがあります。困ったり対応に悩んだりしたら、必要に応じて交通事故に関する相談機関や弁護士などの専門家に相談することも手段の一つです。