しかし、交通事故は、相手方との賠償問題に発展することもあるため、保険会社の対応に納得できない場合や、提示された解決内容に合意できない場合もあるでしょう。また、交通事故により経済的な負担を被ることもあります。
本記事では、交通事故に関する相談等を検討している方に向けて、交通事故の紛争解決や経済的な支援を行っている団体を紹介します。
以下のような紛争解決機関があります。
紛争の当事者の解決のために、公正な第三者が関与して、裁判によらずに解決を図ります。
損害保険に関する一般的なご相談に対応するほか、保険業法に基づく指定紛争解決機関として、損害保険会社とのトラブルが解決しない場合の苦情の受付や損害保険会社との間の紛争解決の支援業務などを行っています。一般社団法人日本損害保険協会が東京および大阪に設置しています。
そんぽADRセンターが対応する損害保険会社とのトラブルは、日本損害保険協会と手続実施基本契約を締結している会社の内容に限られます。
なお、自動車事故などに伴う損害賠償に関する紛争については、紛争解決委員による意見聴取 (面談)に際し、東京にお越しいただく必要がありますが、この場合の交通費・宿泊費などは、自身の負担となります。
電話番号
(通話料有料)※ナビダイヤルでは、各電話会社の通話料割引サービスや料金プランの無料通話は適用されませんので、ご注意ください。
自動車事故の被害者と加害者が契約する損害保険会社等との示談をめぐる損害賠償の紛争解決のため、 中立公正な立場で和解斡旋および審査を行っている公益財団法人です。全国 11ヵ所に設置されています。
自賠責保険・共済の保険金等の支払に係わる紛争の公正かつ的確な解決による被害者の保護を図ることを目的として、公正中立で専門的な知見を有する弁護士・医師・学識経験者で構成する紛争処理委員が書面による調停を行っている一般財団法人です。
電話番号
※受付:平日9時〜12時、13時〜17時(土・日・祝日・年末年始(12月28日〜1月4日)を除く)2024年8月現在
保険オンブズマンは、損害保険会社等(注)に対する苦情やトラブルを解決することを目的に、金融庁長官から指定 (認可) を受けた専門機関です。基本的には、「そんぽADRセンター」と同じ機能・役割を果たす機関ですが、会員が異なります。
受け付けた苦情について損害保険会社等に解決を依頼するなど、適正な解決に努めるとともに、当事者間でトラブルを解決できない場合には、弁護士や消費者相談の専門家などが紛争解決手続を実施します。
(注)「損害保険会社等」とは、保険オンブズマンのホームページに掲載している外資系損害保険会社と保険仲立人です。
電話番号
※受付:平日9時〜12時、13時〜17時(土・日・祝日・年末年始を除く)2024年8月現在
日本弁護士連合会が設立した公益財団法人で、全国154 ヵ所の相談所が設置されています。そのうち48ヵ所で示談斡旋および審査業務を行っています。 下表の相談所で、交通事故に関する無料の面接相談を受け付けています。
電話相談をご希望の方は、0120-078325 におかけください。
各都道府県、政令指定都市等に設置されている交通事故相談所では、交通事故における示談、損害賠償請求、過失割合や保険などに関するあらゆる問題に対し、専門の相談員が相談を受け、公正、中立な立場から助言し、問題解決のお手伝いをしています。
お問い合わせ先は、お住まいの都道府県、市区町村の交通事故担当部署にご確認ください。
交通事故におけるトラブルは、賠償問題に関する紛争だけではありません。一家の働き手を失ったり、ケガのため収入が減ったりと経済的な問題を抱えるおそれもあります。
ここでは、経済的な問題を抱えた被害者や遺族のための援護制度を紹介します。
全国 50 カ所に支所を設置し、自動車事故により脳や脊髄などを損傷して介護を要する重度後遺障害を負われた方に介護料を支給し、訪問して介護相談を行うとともに、介護料受給者等の交流会を実施しているほか、自動車事故により脳を損傷し、重度の意識障害が継続する状態にある方を対象に、適切な治療と看護を行う専門のナスバ療養施設(病院)を全国 12 カ所で設置・運営しています。
また、自動車事故により保護者が亡くなられたり、重度の後遺障害を残すこととなったご家庭(生活困窮家庭)の中学校卒業までのお子様などを対象とした無利子の生活資金貸付を実施しているほか、友の会を運営し、交通遺児等のご家族同士の交流を深めるため、もの作り体験、観劇等のレクリエーション活動等を行っています。
ナスバ交通事故被害者ホットラインでは、ナスバの各種制度のご案内を行うほか、全国の交通事故被害者及びその家族等の皆様へ事故に関する困りごとに応じて、無料で相談できる窓口を案内しています。
損害保険会社などから支払われる損害賠償金などの中から、満16 歳未満の交通遺児 1 名あたり加入年齢に応じて240~700万円を基金が預かり、これを安全・確実に運用し、国および民間からの援助金を加えて、満19 歳になるまで育成給付金(非課税)の給付を行うものです。
また、一定要件を満たす交通遺児及び交通重度後遺障害者の子弟(中学生までを対象)に対し、さまざまな支給を行っています。
●越年資金
●入学支度金
●進学等支援金
●緊急時見舞金
※受付:平日9時〜17時(土・日・祝日・年末年始を除く)
東日本・中日本・西日本高速道路株式会社が管理する道路における交通事故により亡くなられた方のお子様で、経済的な理由から修学困難な高校生などに、返済の必要のない「修学資金」の給付を行っています。
また、修学資金の給付を受けて高等学校などを卒業したお子様には、「卒業祝金」を給付しています。なお、他の団体などから奨学金や一時金の貸付・給付を受けている場合でも給付されます。
電話番号
03-6674-1761
※受付:平日9時30分〜12時、13時〜17時(土・日・祝日・年末年始を除く)
法テラス・サポートダイヤルでは、「自賠責保険」「示談・損害賠償」など、交通事故に関する法制度や問題解決のための相談窓口を案内しています。また、 全国の法テラス(地方事務所)では、経済的に余裕のない方が法的なトラブルにあわれたときに、無料法律相談や、弁護士・司法書士費用などの立替えを行っています。なお、この制度を利用するためには、収入・資産が一定基準以下であることなどの要件を満たす必要があります。
電話番号
0570-078374
IP電話からは、03-6745-5600
※受付:平日9時〜21時/土曜9時〜17時(祝日・年末年始を除く)
保護者が道路上の交通事故が原因で亡くなったり、重度の後遺障害が残ったりして、経済的に就学が困難になった子どもが高等学校、大学 などに通う支援として、無利子で奨学金の貸付(一部給付制度あり)を行っています。
交通事故後は相手方との賠償問題や、遺族等の経済的負担の増加など、さまざまなトラブルが予想されます。
交通事故に関する相談を受け付ける団体は複数ありますので、自身の困りごとに応じて、適切に活用しましょう。
なお、国土交通省の自賠責保険・共済ポータルサイトでは、交通事故にあわれた方を対象とした各種制度や手続きの周知・ご案内を目的としたパンフレット「交通事故にあったときには」、交通事故被害者やご家族、ご遺族の不安解消や支援を目的とした「交通事故被害者ノート」が公開されています。