動産総合保険は、企業財産を広範囲にカバーすることで、経営リスクを軽減する役割を果たします。
ここでは、動産総合保険の基本を解説します。
動産総合保険
2026/03/09
動産総合保険とは?企業が知っておきたい補償内容と
加入時のポイント

動産総合保険は「企業を取り巻く6大リスク」の1つ「企業財産のリスク」に備えられる保険です。
企業が所有する動産に起こり得る、火災や盗難、落下、衝突などの「偶然の事故」によるさまざまな損害を幅広くカバーします。
本記事では動産総合保険の基本や補償範囲、加入のメリット、火災保険との違いなどを解説します。大切な企業財産を守り、予期せぬ損失から事業を保護するための備えとして、ぜひ参考にしてください。
動産総合保険とは

動産を対象とする保険
動産総合保険は、企業の動産の使用・保管・運送中・展示中に起きた「偶然の事故」による損害を補償する保険です。
例えば、商品の運送中の破損や展示中に起きた盗難など、さまざまな事故に対して幅広い補償を受けられます。
また、損害を受けた物を片付ける費用や臨時費用も補償の対象となる場合があります。
不測の事態から企業財産を守り、事業継続性や経営の安定性を確保するうえで、有用性の高い手段といえるでしょう。
動産総合保険の対象となる動産
動産とは、土地や建物といった不動産以外の、物理的に移動可能な財産を指します。
動産総合保険の対象となるのは、企業が事業のために所有、使用、または管理している商品や設備などの動産です。主な例は次のとおりです。
| 動産保険の対象となる動産 | ● 事務用機器(PC、プリンターなど)(※¹) ● 備品・什器(デスク、棚など)(※¹) ● 商品 ● 在庫品 ● 展示品(展示会出展物) ● 現金・有価証券(※²) |
|---|---|
| 対象外の動産 | ● 自動車 ● 航空機・船舶 ● 工場内の据付機械(大型プレス機など) ● 加工・製造中の動産 ● 不動産および不動産に準ずる物件(エスカレーター、カーポートなど) |
※¹リース物件も補償対象となります。リース開始時はリース会社側で付保されることが一般的ですが、再リース(リース期間が満了し、継続する場合)においては付保されないケースもあるためご注意ください。
※²一般的に、基本補償では対象外ですが、オプション(特約)を追加することで補償対象とできる場合があります。
上記の他、屋外設置などで自然災害の影響を受けやすい動産や、高額な美術品・骨董品、スポーツ用品のように通常使用で破損するリスクが高いものは、補償対象外となる可能性があります。
なお、動産総合保険の対象外の動産について、種類によっては、他の保険で備えられる場合があります。
【動産総合保険の対象外の動産に活用できる保険(例)】
● 自動車:自動車保険
● 航空機:航空機保険
● 船舶:船舶の保険(船舶普通期間保険、船舶不稼働損失保険など)
● 工場内の据付機械:機械保険
● 加工・製造中の動産:火災保険、物流総合保険など
● カーポート:火災保険
火災保険との違い・比較した際のメリット
動産に保険をかけるにあたっては、火災保険という選択肢もあります。どちらも企業の財産保護に活用できる保険ですが、補償範囲や契約単位に違いがあります。
| 保険の種類 | 動産総合保険 | 火災保険 |
|---|---|---|
| 補償範囲 | 火災・風災・盗難・破損・取り扱い上の不注意など ※運送・展示中など、敷地外の損害も補償 |
火災・風災・水災・盗難・破損・取り扱い上の不注意など ※運送中・展示中など、敷地外の損害は補償外 |
| 契約単位 | 個別の設備や機械など、個々に契約可能 | 設備一式、機械一式、建物とセットなど、包括的な契約が必要 |
動産総合保険は、火災保険よりも柔軟かつ広範なリスクに対応できる点がメリットです。
火災保険では、補償対象に対して包括的に契約するのに対して、動産総合保険は補償したい動産を個別に契約することが可能です。火災保険の場合、現金など、動産に応じて保険金額に上限が設けられているケースがあります。高額な動産を扱っていたり、店舗に多額の現金を保管していたりする場合は、動産総合保険の加入を検討してみるとよいでしょう。
また、火災保険が「企業の建物や敷地内の損害」に重点を置くのに対し、動産総合保険なら運送・移動中など「敷地外の損害」に対応できるという利点もあります。展示会や外部保管が多い企業には、より実用的な補償です。
動産総合保険と火災保険は併用するケースも
動産総合保険と火災保険を組み合わせることで、企業財産に対するリスクをより包括的にカバーすることが可能です。
建物や、事務所の机や椅子など事務所から持ち出さないものは、一般的に火災保険の対象です。
ただし、火災保険は、保険証券に記載された建物や敷地外で事故に遭った場合は補償されないケースがあります。OA機器や展示会に出展する商品など、持ち出す可能性があるものは、動産総合保険でカバーする必要があります。
そのため、建物や固定設備は火災保険に、持ち出しのあるものは必要に応じて動産総合保険に加入するのが一般的です。ただし、補償の重複がないように、補償内容に過不足がないか確認することが重要です。
このように、多岐にわたる事業のリスクの対策として活用できる保険はさまざまあります。
こちらの記事では、損害保険を中心に「企業を守る保険」について解説しています。あわせてご覧ください。
動産総合保険の補償範囲

動産総合保険の補償範囲について解説します。
偶発的な事故による損害を幅広く補償しますが、補償対象外となる損害もあります。
なお、実際の補償範囲は各保険商品によって異なる可能性があります。詳細は保険会社や損害保険代理店に確認するようにしてください。
動産総合保険で補償される損害
動産総合保険では、次のような災害・事故による損害が補償されます。
● 火災
● 爆発・破裂
● 落雷
● 風災
● 雹(ひょう)災
● 雪災
● 水漏れ
● 盗難
● 運送中の事故
● 落下・転落
● 破損
【補償対象となる事故(例)】
● 工場火災による機械の焼失
● 配送中のトラック事故による商品の破損
動産総合保険の補償対象外となる損害
保険の性質上、次のような損害は原則として動産総合保険の補償対象外となります。
● 故意又は重大な過失による損害
● 経年劣化による損害
● 詐欺・横領による損害
● 紛失による損害
● 故障や欠陥・劣化等による損害
● 地震や水災による損害 (※)
※地震による損害は、火災保険の地震危険補償特約でカバーする必要があります。水災はオプション(特約)をつけることでカバーできるケースもあります。
動産総合保険で支払われる保険金の種類

動産総合保険では、損害が発生した場合に次の保険金が支払われます。
| 支払われる保険金 | 内容 |
|---|---|
| 損害保険金 | 損害の修理や再購入に必要な金額 |
| 臨時費用保険金 | 事故に伴う臨時出費の補償 |
| 残存物片付け費用保険金 | 事故の残存物の片付けに必要な費用 |
動産そのものの修理・再購入費用(損害保険金)だけでなく、事故に伴って発生する臨時費用や、損害物の撤去・清掃にかかる残存物片付け費用なども補償されます。こうした付随的な費用までカバーできるため、企業にとって予期せぬ経済的負担を大きく軽減することが可能です。
保険金が支払われる際には、契約時に設定した免責金額(企業側の自己負担額)を差し引いた額が支払われます。免責金額を高く設定することで、保険料を安く抑えることができますが、自己負担が増えるため、保険料とのバランスを見ながら設定することが重要です。
動産総合保険の加入を検討したいケース

動産総合保険は、特に動産を多く取り扱う企業や動産の移動・保管中のリスクが高い企業に有効です。動産総合保険の検討価値が高いケースは次のとおりです。
| 業種 | 特徴 | 主なリスク例 |
|---|---|---|
| 製造業 | 原材料や製品、機械設備など 多くの動産を保有 |
火災・盗難・輸送中の破損 |
| 小売・卸売業 | 倉庫や店舗に大量の商品・ 現金を保管 |
火災・盗難 |
| イベント・展示関連企業 | 展示品や機材を頻繁に移動・設置 | 輸送中の破損・展示中の盗難 |
| レンタル・リース業 | 貸出用の機材や備品を多数保有 | 使用中の破損・返却時の損傷・盗難 |
なお、自社にどのようなリスクが潜んでいるかを把握する際には、ぜひ「6大リスク診断」をご活用ください。
簡単な質問に答えるだけで、企業を取り巻くリスクを診断できます。
動産総合保険で企業のリスクマネジメントを強化

動産総合保険は火災や盗難、運送中の事故など、企業財産に生じる偶発的な損害を幅広く補償する保険です。事業継続性を確保し、予期せぬ大きな損失から経営を守るための有効なリスクマネジメント手段の1つといえます。
事業内容やリスク特性に加え、現金・在庫の保管状況、運送・展示の頻度などを踏まえて必要性を判断していくことがポイントです。なお、補償の対象となる動産や契約方式、補償内容の詳細は保険会社によって異なります。詳細は保険会社・損害保険代理店に相談し、自社に適した補償を検討していきましょう。