米国再保険監督規制に関する動向

  米国の保険者が米国外の再保険者に出再する場合、再保険者は引受負債責任相応額の100%を担保として供出しなければならないという規制が存在します。これは、米国外の再保険者にのみ求められる規制であることから、内外差別的規制として日本や欧州など、米国外の保険業界から撤廃を要請されております。

 このような状況を受け、全米保険長官会議(National Association of Insurance Commissioners:NAIC)では、2001年から再保険担保規制の改革に着手し、2011年秋に一定条件を満たすことを前提に、再保険担保の減額を認めるモデル法およびモデル規制を採択しております。

※ニューヨーク州やフロリダ州では、NAICでの改革案の採択に先んじて独自の改革を実施しています(ニューヨーク州:2010年、フロリダ州:2008年)。


 その一定条件の一つに含まれているのが、「Qualified Jurisdiction(認定管轄区域、以下QJ)」という考え方です。再保険担保の減額を受けたい再保険者は、各米国州保険当局の審査を受ける必要がありますが、審査を受ける際、当該再保険者の所在国(管轄区域)がQJとして認定されている必要があります。

 NAICでは、自ら諸外国の再保険規制などを評価し、各州が参照できる認定管轄区域リストを作成することとしており、3回のパブリックコメントを経て、2013年8月にその評価手法および手順を示した文書(同等性を有する管轄区域リストの作成および維持に関する手続き)を採択しました。

 この手続きに応じて評価が実施された結果、2015年1月1日に日本を含む7つの管轄区域がQJに認定されました。このQJのステータスは5年ごとに再審査されることとなっています。

 QJの各再保険者は、担保減額措置の適用を希望するモデル法導入州に申請し、適用のための審査を受けることになります。各保険者が最初に減額措置の適用を申請した州が当該再保険者のリード州(Lead State)となり、初期分析の結果やNAIC再保険財務分析WG(Reinsurance Financial Analysis Working Group)のピアレビュー結果等に基づき、当該再保険者に認定(Certification)を与えるか否かを最終決定します。

 リード州で認定を受けた再保険者が別のモデル法導入州で認定を受けようとする場合には、文書提出のみの簡略な手続き(Passporting)が用意されています。Passportingを効率化するため、NAIC再保険財務分析WGでは、チェックリストと呼ばれる申請時の提出文書の共通フォーマットが作成されています。


担保減額措置適用に向けた手続き(PDFファイル)


 NAICのモデル法には、各州に導入を強制する法的拘束力がありません。したがって、規制改革の内容は確定したものの、実施に際してはこれから各州レベルでの導入が必要となります。モデル法は2014年11月時点で、23州で導入されております。


 損保協会は、日米規制改革イニシアティブ等の政府間協議やNAICが実施したパブリックコメントの機会を利用し、積極的に再保険担保撤廃・減額を訴えています。


・ 「同等性を有する管轄区域リストの作成および維持に関する手続き」の採択(2013年8月27日付):
2013年8月27日に米国・インディアナポリスで開催されましたNAIC(全米保険長官会議)夏季全国大会の執行委員会にて、米国再保険監督規制に関する文書「同等性を有する管轄区域リストの作成および維持に関する手続き」が採択されました。
採択されたNAIC文書の概要説明資料(PDFファイル)


・ 米国再保険監督規制に関する意見を再度提出(2013年5月8日付):
2012年12月に実施されたパブリックコメントで寄せられたコメントを反映した修正案が再びパブリックコメントに付されたため、損保協会から再度意見を提出しました。
再保険に関するNAICのパブリックコメント概要資料(2013年5月)(PDFファイル)

・ 米国再保険監督規制に関する意見を提出(2013年1月15日付):
NAICの再保険規制改革を実行するための細則に当たる「同等性を有する管轄区域リストの作成および維持に関する手続き案」がパブリックコメントに付されたため、損保協会から意見を提出しました。
再保険に関するNAICのパブリックコメント概要資料(2012年12月)(PDFファイル)

 

 米国再保険規制に関して損保協会が提出したコメントにつきましては、以下をご覧ください。

 2010年9月 損保協会コメント(PDFファイル)

 2011年7月 損保協会コメント (PDFファイル)

 2012年11月 損保協会コメント (PDFファイル)

 2013年4月 損保協会コメント (PDFファイル)

新設:2013.2.21 更新:2015.7.13 (国際企画部 業務グループ)