熊本で火山災害対策イベントを実施

~火山災害に関する基調講演・シンポジウムを実施~

 日本損害保険協会九州支部(委員長:平 純孝・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 執行役員)では、12月20日(日)に熊本市のくまもと森都心プラザで、「近年の火山活動から考える一般市民のための火山災害対策」(後援:内閣府政策統括官(防災担当)、公益財団法人阿蘇火山博物館)を開催し、一般消費者をはじめ、行政・消防関係者、損保関係者等60名が参加しました。

 当協会では、本年度から3年間の第7次中期基本計画において、自然災害の発生実態や地域特性に応じた防災・減災に資する啓発を全国各地で行うこととしており、その一環として本イベントを開催しました。

 開催に当たり、当支部熊本損保会 竹川 康弘 会長は、「本日の講演、シンポジウムが、参加者にとって火山災害対策と備えについて考えるきっかけの一つとなれば幸いである。」と述べました。

 イベントは二部構成で実施され、第一部では、九州大学大学院理学研究院教授で火山噴火予知連絡会の清水 洋 副会長から「近年の火山活動の動向、火山災害とは」をテーマに基調講演がありました。近年の御嶽山、口永良部島、阿蘇山、雲仙等の噴火事例を交え、「火山学は大きく進歩しているが、噴火の時期、場所、規模等を予知するのは依然として困難である。それをできるようにするには、基礎的な研究とともに観測を行い、迅速に情報を出していくのが今後の課題」といった解説がありました。

 第二部では、コーディネーターに一般社団法人減災・復興支援機構の木村 拓郎 理事長、パネリストに基調講演を行った清水 副会長のほか、公益財団法人阿蘇火山博物館の池辺 伸一郎 館長、前静岡県危機管理監で静岡大学教授・内閣府火山防災エキスパートの岩田 孝仁氏、ネットワーク三宅島代表で火山地域の市民団体相互支援ネットワークの宮下 加奈 事務局長を迎え、「今後、必要となる火山災害対策とは」をテーマにシンポジウムを実施しました。
 シンポジウムでは、噴火警戒レベル、噴火災害の被害の特徴、緊急避難対策、広域避難対策、災害の長期化の5つをテーマに各立場での経験や実態をもとに災害対策について議論を行いました。パネリストからは、「火山災害の発生の周期は長く、過去の災害の記憶や記録を次世代に伝えていく必要がある」、「噴火警戒レベルが1でも突然の噴火はありえるので注意が必要」、「火山災害は被災エリアが広いため、複数の都道府県にまたがった広域の避難対策が必要だが、必ずしも進んでいない」といった意見が出されました。

 最後に、「火山災害を理解する上で理学的な話から、生活被害までをセットで啓発しないと理解が得られない。今後、多くの人に噴火災害の過酷さと他の災害との違いを知っていただくことを継続的に行っていくのが大事である。」とのまとめがありました。

 イベント終了後のアンケートでは「火山災害について考える機会となった」「火山災害には風評被害や避難された方の生活の維持の困難さという側面があることを知ることが出来た」等の声が寄せられ、内容の満足度について「期待以上」「期待通り」という回答が9割近くを占めました。
 当支部では、今後も関係団体と連携し、自然災害への備えに関して普及・啓発活動を行っていきます。

第一部 基調講演
第二部 シンポジウム
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