首都圏大規模水害をテーマとした講演会を開催
~江東区との共催 防災士フォローアップ研修~

 日本損害保険協会(会長:北沢 利文)では、2月6日(月)に江東区との共催で「防災士フォローアップ研修」を江東区文化センターで開催し、首都圏大規模水害をテーマとした講演を、146名の参加者を対象に実施しました。

 首都圏における大規模水害として、長雨などによる荒川の洪水と東京地方への伊勢湾台風級以上の台風の襲来による高潮の同時期発生により、墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区の5区(江東5区)の全域が浸水する事態が想定されています。
 本講演は、地域の防災リーダーとして、江東区の自主防災組織「災害協力隊」の隊員の中で防災士資格を取得した区民等を対象とし、首都圏大規模水害の被害・発生リスクや広域避難の必要性等を啓発することで、聴講した防災リーダーから居住地の住民等に意識啓発や備えの輪を拡げていく目的で、開催したものです。

 冒頭では、江東区危機管理室防災課長 保科 昌男 氏より「本研修で学んだ知識を生かし、防災リーダーとして地域の防災力向上にご尽力いただきたい」と挨拶がありました。

 続いて、内閣府(防災担当)参事官補佐 多田 直人 氏より「首都圏大規模水害での避難の課題」をテーマとして講演がありました。(1)江東5区(墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区)の水害特性(高い洪水・高潮リスク、浸水の長期化、膨大な浸水人口の発生)、(2)江東5区(「江東5区大規模水害対策協議会」等における取組(発災前に全区民が非浸水域に広域避難することを最終目標とし、広域避難の判断や避難先の確保、大規模な交通渋滞の発生などの課題検討)、(3)内閣府における取組(「洪水・高潮氾濫からの大規模・広域避難検討ワーキンググループ」での検討、3大検討方針(案)(床上浸水継続3日以内の区域では可能な限り屋内安全確保など)や今後の検討内容(立退き避難の対象者の絞り込み・域内避難の実現性の向上・域外避難の実現性の向上」)などについて説明がありました。

 次いで、東京大学 生産技術研究所 准教授 加藤 孝明 氏より「首都圏大規模水害 私たちは未来にどう備えるか」をテーマとして講演がありました。(1)阪神・淡路大震災を例とした共助の重要性、(2)葛飾区新小岩七丁目での水害に対する防災取組例(地域住民主体によるワークショップ、救助訓練など)、(3)備えの第一歩として災害リスクおよび地域の実態の正しい知識を得ること、(4)短期的な備えだけではなく、防災「も」取り入れた自律的・持続的な「防災まちづくり」を推進し、「浸水対応型市街地」を目指す(長期的目標)ことの重要性などについて解説がありました。

 最後に、当協会 深田 一政 常務理事より、日本損害保険協会の防災・減災の取組みについて、「地域の防災力は、ひとつひとつの小さな気づきを実行することで育まれる。その一助として、当協会が展開しているぼうさい探検隊などを活用していただきたい」と説明がありました。

 当協会では、今後も防災・減災に関する意識啓発活動を行っていきます。

会場の様子
内閣府(防災担当)参事官補佐
多田 直人氏 講演
東京大学生産技術研究所 准教授
加藤 孝明氏 講演
深田 一政 常務理事
主催者説明
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