【コラム】「地震国日本での自らの備え」

 当協会の深田一政常務理事が「週刊エコノミスト」(毎日新聞社発行)に寄稿した コラム「地震国日本での自らの備え」(隔月掲載)を「週刊エコノミスト」の了解を得て紹介します。併せて、関連するリンク先を掲載します。
 なお、同誌には、これまでコラム「超高齢社会への取組み」、「万一の備え・リスクマネジメント」を寄稿しています。関連リンクをご参照ください。

 第6回のコラムは<熊本地震から1年、大地震はどこでも起こる>がテーマです。

第6回 熊本地震から1年、大地震はどこでも起こる(2017年5月2・9日合併号)

 平成28年熊本地震の発生から、1年が経ちました。熊本県は従来、地震リスクが高いと思われていませんでしたが、4月14日と16日に相次いで震度7が観測され、熊本県や大分県を中心に大きな被害を受けました。このように内陸型地震は発生確率が低くても、ひとたび地震が発生すれば、震源域周辺は強い揺れに見舞われる可能性があります。発生確率が低いからといって安心は出来ないことを示しています。

 また、熊本県の地震保険の付帯率は63.8%でした。すなわち、火災保険契約者の約4割の方は地震保険未加入であったということになります。

 海溝型地震、内陸型地震、これらの地震の発生頻度や被害を及ぼす範囲を考えると、日本全国いつでもどこでも大規模地震が発生する可能性があるといえます。これからも、いざという時に備え、お役に立つ地震保険の普及促進に努めていきます。

第5回 東日本大震災から6年、地震体験イベント開催!(2017年3月7日号)

 東日本大震災から、まもなく6年が経ちます。しかし、復興に向けては未だ道半ばといった状況や余震とされる度々の地震の発生などを考えると、3.11を決して風化させない取組みが重要と考えます。これまで、当協会では、防災・減災の啓発活動や被災後の生活再建に向けた地震保険の普及促進に取り組んできました。

 加えて、本年3月3日から5日まで、お台場のパレットタウンにおいて地震体験イベントを開催します。皆様が地震に対する備えの必要性を考え、体験する良い機会となることを願っています。

 地震のシミュレーション映像を観ながら、大地震の揺れを体感していただき、街の消滅から再生をイメージしてもらいます。また、ポンプ車や子供用消防服の展示、救急医療体験なども行います。どなたでも無料で参加可能ですので、ぜひお立ち寄りください。

第4回 2017年1月の地震保険制度改定(2017年1月3・10日合併号)

 2017年1月に、地震保険制度が改定されます。主な変更点は、損害区分と保険料です。

 1月以降の契約では、損害区分のうち、「半損」が「大半損」と「小半損」に細分化され、「全損」、「一部損」と合わせて4区分になります。この改定により、区分による保険金の格差が縮小され、また、半損の中でも被害がより深刻な契約者への補償が充実する効果もあります。

 保険料は、政府の震源モデルや地盤データの更新により、全国平均で19%の引き上げが必要となっています。これは、地震のリスクが高まっていることを意味します。そのため、今後、三段階に分けて料率が改定される予定であり、第一段階として、1月から全国平均で約5.1%引き上げられます。

 改定前後の都道府県別の年間保険料例は、当協会ホームページ内「損害保険の解説」でご覧になれます。2016年は、熊本や鳥取、福島などで、大きな地震が相次ぎました。いつ来てもおかしくない地震に、地震保険でしっかり備えましょう。

第3回 安政南海大地震と津波の日(2016年11月8日号)

 東日本大震災の経験を踏まえて、2011年に「津波対策の推進に関する法律」が制定され、毎年11月5日は「津波防災の日」と定められました。これは、1854年11月5日の安政南海大地震の故事、「稲むらの火」に因んだものです。津波が来ると察知した、庄屋の濱口梧陵が稲束に火をつけて警報を発し、村民を高台に避難させ、多くの命を守ったというものです。そして、日本政府の働き掛けにより、昨年の第70回国連総会では、同日が「世界津波の日」として制定され、世界的な運動となっています。

 日本損害保険協会では、地震や津波などで被災した際に生活を支える「地震保険」について、普及促進活動を行っています。9月5日の地震保険創設50周年記念フォーラムをはじめ、全国で地震保険セミナーを開催するなど、業界を挙げて地震保険の普及にまい進しています。首都直下地震や南海トラフ地震だけでなく、地震は日本のどこでも起こりうるリスクとして、その備えを見直してみてください。

第2回 「防災の日」を機に、地震への備え(2016年9月6日号)

 9月1日は関東大震災が発生したことや暦の上で二百十日にあたることから、「防災の日」となっています。全国で、自然災害への備えに関する様々な啓発取組みが展開されます。自分の命・財産を守り、地域防災力の高い国・地域への体質改善を図ることは喫緊の課題です。加えて、被災後に生活を円滑に再開できるような事前の備えを考える必要があります。地震等で家が大損壊した場合、住宅ローン負担に加えて、仮住まいや建替えの費用など多くの負担が生じます。

 地震保険は地震・噴火・津波で被災した方の生活の安定に寄与するため、法律に基づき政府と損害保険会社が共同運営し、迅速かつ公正に保険金が支払われます。

 今年度は、地震保険制度創設50年。熊本出身の俳優、高良健吾さんが、被災後の「立ち上がる、力になる。地震保険」と強く呼び掛けています。地震はいつ起きてもおかしくありません。地震の時に困らないよう、事前の備えを考えていただければと思います。

第1回 熊本地震と地震保険(2016年7月5日号)

 熊本地震の発生から、2ヶ月が経ちました。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。損害保険各社は、迅速な保険金のお支払いに努め、地震保険の支払額は6月13日時点で、合計約3000億円となりました。これは阪神・淡路大震災時の支払額を大きく超え、東日本大震災の次に大きい額となっています。

 気象庁によると、世界で起きた地震の約10%が日本周辺で発生しています。地震のリスクは非常に大きく、火災保険(住まいの保険)では補償の対象外となっています。

 地震保険は、1964年の新潟地震を契機に、官民共同運営でノーロス、ノープロフィットの日本独自の保険として、1966年6月に誕生しました。被災後の生活再建に役立つ保険であり、今年で50周年を迎えています。

 地震保険の理解促進と普及に努めてきましたが、多くの方が未加入です。個人の生活再建と町の復興に役立つ地震保険。今回から、「地震国日本での自らの備え」をテーマにお話していきます。

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