軽消防自動車の寄贈に対して消防庁等から感謝状を受領
~寄贈した軽消防自動車は、消火活動他平時の防災啓発などでも貢献~

 日本損害保険協会(会長:広瀬 伸一)では、防災事業の一環として、1952年度から全国の市町村(離島除く)に、1982年度から離島に消防自動車や小型動力ポンプ等の消防資機材を毎年寄贈しており、これまでの消防資機材の累計寄贈台数は3,474台(今年度は15台の軽消防自動車を寄贈)となります。これらの寄贈による貢献に対し、消防庁および全国離島振興協議会から、11月12日(木)に感謝状を受領しました。(※)

(※)例年は消防庁長官室で寄贈式を実施していますが、今年度は新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえて中止としました。これを受け、感謝状贈呈のお申出をいただいたものです。

消防庁、全国離島振興協議会からの感謝状

 なお今年度は、過去に軽消防自動車を寄贈した消防団(計58団体)を対象として、アンケートを実施しました。その結果、寄贈した軽消防自動車が「消火活動」のみならず、「事故・災害対応」や「平時における住民への防災啓発」等の様々な場面で役立てられており、具体的には「狭い道や山間部を通行しやすくなったことによる消火活動の迅速化」、「台風等の事前予防(土のう積み等)や復旧活動(冠水処理等)での活用による被害の軽減・復旧の迅速化」、「防火広報での活用による幅広い世代の方の防火・防災意識の向上」、「大型消防車の運転が難しかった女性や若い世代の消防団員の活動の広がり」など、本寄贈により地域に好影響がもたらされたという声が多数寄せられました。(詳細は下記の「近年の寄贈先消防団へのアンケート結果」を参照)

令和2年7月豪雨で、復旧活動(冠水処理)に活用された様子(天草市)

 当協会では、災害に強い社会の実現に向けて、今後もこうした取組みを続けていきます。

近年の寄贈先消防団へのアンケート結果

実施期間、対象

2020年10月5日~11月9日、計58団体(2014年度~2016年度の軽消防自動車寄贈先)

主な回答(軽消防自動車の寄贈がもたらした影響)

消火活動、事故・災害対応

  • 従来の大型の消防車では通行できない道路が多く、現場によっては到着に時間を要することがあったが、寄贈されてからは、狭い道や山間部なども通行できるようになり、迅速な消火活動が可能となった。
  • 豪雨等によって、自然災害(沿岸部での高潮や津波、山岳部での土砂崩れなど)が発生した場合、寄贈を受ける前は地域内を隅々まで巡回したり河川を巡視したりできないことがあったが、寄贈を受けた後は狭い道路も通行できるようになり、避難誘導や河川の巡視ができる範囲が広がった。
  • 既存のポンプは経年劣化による機能低下が著しかったが、寄贈を受けてからは、内水氾濫が多数の箇所で発生した際に、軽消防自動車に積載された小型ポンプを活用し、効果的に排水ができるようになった。
  • 海難事故の発生に際し、既存の車両では砂浜での活動ができなかったが、寄贈を受けた軽消防自動車は、砂浜に進入しても問題なく活動できるため、海難事故の捜索活動でも活用できている。
  • 以前に豪雨による土砂災害が広範囲にわたり発生し、対応に苦慮したことがあったが、2018年の豪雨災害においては、寄贈された軽消防自動車を活用して事前の予防活動(土のう積み等)を行い、被害の軽減につなげられた。
  • これまでに台風時に土砂災害と河川の増水により浄水場が使用できなくなり、断水が起こってしまうことがあったが、寄贈を受けた後の2019年の台風15号の被災時には、浄水場への給水に小型ポンプを活用し、迅速な対応ができたため、断水を防ぐことができた。
  • 台風通過後の巡回対応において、寄贈前は倒木や土砂崩れの予想される場所は迂回していたが、寄贈された軽消防自動車は悪路も通行できるため、隅々まで現場確認ができるようになり、特に2018年の台風21号では、発災直後の貴重な情報収集に役立った。
  • 豪雨等により発生した道路冠水等の対応において、旧式のポンプではかなりの時間と労力を要していたが、寄贈を受けた後の2020年7月の豪雨災害時には、軽消防自動車に積載された新型のポンプを活用し、効率的に復旧活動(冠水の対処や放水による道路の清掃等)が行うことができ、迅速な交通確保につながった。

平時における住民への防災啓発

  • 既存の車両とポンプが老朽化していた中、分団で初めて軽消防自動車が配備されたことで住民から注目され、さらには寄贈車両を地域における保育園児との防火パレードで活用することにより、園児のみならず大人も消防・防災活動に興味を持つきっかけとなった。
  • 毎年行っている春と秋の火災予防運動での広報活動は目新しさがなく、住民の関心が薄れつつあったが、寄贈車両を活用することで、住民の興味関心が強まった。
  • 春・秋の防火パレードでは、普通ポンプ車で広い道路だけを走行して広報活動をしていたが、軽消防自動車の寄贈を受けた後は、狭い道路にも入り、地域の隅々まで広報活動ができるようになった。
  • 団員募集活動において、以前はチラシ配付等のみでインパクトに欠けていたが、寄贈を受けた軽消防自動車を活用し、寄贈車両の前での写真撮影や乗車体験のブースを設けたところ、小さい子どもにも団員の活動が興味を持たれるようになった。

消防団員のモチベーション向上

  • 既存のポンプはどれも旧型で度々故障が発生しており、団員が不満を感じていたが、寄贈を受けた軽消防自動車に積載されたポンプは新型かつ高性能であるため、点検整備の負担が軽減し、団員のモチベーションが高まった。
  • これまでは経験が豊富な消防団員のみが小型ポンプ操作員として活動していたが、寄贈車両に積載された小型ポンプが高性能かつ操作が容易なため、経験の浅い消防団員でも操作が可能となった。
  • 近年の免許取得の基準改正により、既存の大型の消防車両を運転できる団員が限られてしまっていたが、寄贈を受けた軽消防自動車は改正後の免許制度でも運転が可能な団員が多数いるため、各団員の活動の幅を増やすことができた。
  • これまで女性団員にとっては扱いにくい大型の消防車両・ポンプしか配備されておらず、活動の幅が制限されていたが、寄贈された軽消防自動車は小回りが利いて運転が容易なため、女性団員が運転を担い出動する場面が増えた。
  • 既存の小型ポンプはいずれも旧型で、消火活動はもとより、操法訓練の際にもすぐオーバーヒートしてしまうなどの問題があったが、寄贈を受けた軽消防自動車に積載された小型ポンプを活用し、消防操法訓練大会でも優勝をおさめることができた。
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