早稲田大学・よんなな防災会と共催した連続イベントで地域の災害リスクを伝えられる大学生の育成を図りました!
~「ぼうさい探検隊」の実践と「ハザードマップ」の解説を通じて~

日本損害保険協会(会長:舩曵 真一郎)は、「早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)」および「よんなな防災会」と連携し、各種防災イベントを開催しました。

当協会は、2021年4月からスタートした3年間の第9次中期基本計画で「災害に強い社会の実現」を掲げており、近年、気候変動の影響等によって豪雨災害が激甚化していることから、ハザードマップの普及活動等による地域の災害リスクの理解促進に取り組んでいます。

本イベントは、早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)20周年を機に実施される連続セミナーであり、当協会は共催者として、まち歩きをしながら危険な箇所や防災施設などを調べてマップにまとめる「ぼうさい探検隊」の実践(フィールドワーク)と「ハザードマップ」の解説(座学)を通じて、地域の災害リスクを伝えられる大学生を育成しました。

今夏には、今回参加した大学生などを中心に、早稲田大学周辺の複数の小学校の生徒を対象に「ぼうさい探検隊」を実施し、早稲田大学周辺の大きな防災マップを作成する予定です。
 

1.「地域の災害リスクと避難経路を知ろう!:『ぼうさい探検隊』による『My避難経路』の把握」

日時
開催形式
参加者数
主催
共催

概要

① 地域の災害リスクと避難経路を知ろう!:「ぼうさい探検隊」による「My避難経路」の把握
<講師:佐々木 俊介 さん(平山郁夫記念ボランティアセンター講師)>

・近年は豪雨災害が頻発しており、また、巨大地震の発生の懸念が高まる中、各自治体が作成するハザードマップ等を活用し、自分が住む地域のリスクを知っておく必要がある。

・5/28に早稲田大学周辺で、防災教育プログラム「ぼうさい探検隊」を実践し、同大学周辺のリスクを学ぶ機会とするとともに、地域の災害リスクを伝えられる学生を育成する予定である。

② 「ぼうさい探検隊」の概要について
<講師:杓子尾 駿(日本損害保険協会 防災・安全グループ 係長)>

・「ぼうさい探検隊」は、まち歩きと危険箇所などを示したマップ作りを通じて、楽しみながら身近な危険を学ぶプログラムであり、子どもから大人に、大人から地域に防災意識を波及させることを志向している。

・「ぼうさい探検隊」は、2019年度から専用タブレットを貸し出して取り組めるようにしており、2021年6月には香川大学の学生向けに実施し、地域の災害リスクを伝えられる学生の育成に取り組んだ。また、2022年3月に、香川大学の学生と早稲田大学の学生が交流する機会を設けた。

2.「ぼうさい探検隊」で災害リスクを知ろう~早稲田大学周辺をまち歩き~

日時
場所
参加者数
主催
共催

概要

① タブレットを使用した「ぼうさい探検隊」の実践を通じた総括
<インストラクター:中田 弾 さん(D&A Networks 代表理事)>

・今回参加いただいた皆さんが、小学生に「ぼうさい探検隊」を指導する際は、答えを与えようとするのではなく、自分自身で「気づく」ように促すことが大事である。また、子どもたちからの質問や疑問を大切にして、わからないことをそのままにせずに、大人も一緒に考える姿勢が大事である。

・子どもたちと関わる活動は自分自身の人生の豊かさにもつながり、また、子どもたちから学ぶことも非常に多いため、ぜひ、今回参加いただいた皆さんには、「ぼうさい探検隊」のインストラクターにチャレンジしてもらいたい。

② ハザードマップの重要性と「ぼうさい探検隊」
<講師:田中 美都 さん(㈱ウェザーマップ)>

・過去の豪雨災害では、ハザードマップの予測と実際の浸水域がほぼ一致する事例もあり、ハザードマップに基づき地域の災害リスクを知ることは重要である。災害に備えて活用いただきたい一方で、ハザードマップの理解度は不十分な状況にある。

・あらかじめハザードマップで地域の危険箇所を確認し、そのうえで「ぼうさい探検隊」を実践することで、より地域の災害リスクの理解が深まると考えている。

※田中さんからは、早稲田大学周辺のハザードマップの解説もあった。

【当日参加した大学生の感想(一部抜粋)】

・防災を意識してまちを歩くことで、普段気づくことができなかった防災施設などを、たくさん知ることができた。防災施設の使い方も、併せて学んでいきたいと思った。

・自分が小学生を対象にインストラクターを実施する場合、どのように伝えれば、子どもたちが自分で考えて気づけるように促せるのか、子どもの視点に立って考える機会になった。

・タブレットで写真を撮りながら、マップに登録していくことで楽しく学ぶことができ、地域(大学周辺)への愛着にもつながった。

3.「ぼうさい探検隊」で見えた災害リスクと避難経路:調べたことを子どもたちに伝えよう!

日時
開催形式
参加者数
主催
共催

概要

① 「ぼうさい探検隊」で見えた災害リスク
<講師:佐々木 俊介 さん(早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター講師)>
 

・参加いただいた大学生に対して、早稲田大学周辺の災害リスクと防災まちづくりの視点を伝えることができた。

・今夏には、早稲田大学周辺の複数の小学校の生徒を対象に「ぼうさい探検隊」を実施して、早稲田大学周辺の大きな防災マップを作成する予定のため、ぜひ、ノウハウを学んだ大学生たちにはインストラクターとして参加いただきたい。

② ぼうさい探検隊実施結果(地域の災害リスクの把握)の周知の取組について
<講師:竹 順哉 さん(よんなな防災会発起人)>

・47都道府県の公務員等が有志で参加し、防災・減災をテーマにつながりを深めていく会である「よんなな防災会」は、Yahoo!防災速報の「災害マップ」の投稿が可能な連携パートナーとなっている。

・「ぼうさい探検隊」で見つけた危険箇所を同マップに登録することで、より多くの方々に地域の災害リスクを周知することができる。今後、Yahoo!防災速報の「災害マップ」の活用が、「ぼうさい探検隊」の取組を発展させ、その成果をより広く周知するための一要素となるのではないか。

③ 地域のリスクを知る重要性~ぼうさい探検隊の実践とハザードマップの活用~
<講師:杓子尾 駿(日本損害保険協会 防災・安全グループ 係長)>

当協会の関東支部が2021年12月に1都9県に対してアンケートを実施した結果、30.6%の方が自宅周辺のハザードマップを見たことがないと答えている。ハザードマップは自然災害が発生する前に確認して、自宅や大学等の周辺のリスクを把握し、地域で備えていくことが大事である。ぜひ今回を機に、実践いただきたい。

・自然災害が発生すると住宅等が被災し、経済的被害が発生する。そうした場合に、損害保険などによる備えも有効である。

④ 防災気象情報の手に入れ方と伝え方
<講師:田中 美都 さん(㈱ウェザーマップ)>

・災害から命を守るためには、防災気象情報の活用が重要であり、例えば、土砂災害では「土砂災害警戒情報」が市町村ごとに発表され、洪水では「氾濫危険情報」が指定河川ごとに発表される。さらに細かく自分の住んでいる地域の危険度を確認したい場合は、気象庁の「キキクル」で確認できる。

・防災気象情報に加えて、気象予報士としては、ことば・表情・声色を変えて、「いつもと違う」を伝えるようにしている。「命を守るために」などの言葉を聞いたときには、災害が差し迫っている可能性があるので、一刻も早い安全確保が必要である。いざという時は率先して避難するとともに、身内等が住んでいる場所が危険な場合には、皆さんが自らの言葉で家族や友人等周囲の方々に電話等で伝えていただきたい。

 
※当日の模様は、木村 汐里 さん(関西学院大学4年生)にグラレコ(グラフィックレコード)にまとめていただきました。

当日の模様をまとめたグラレコ
グラレコの過去の実績を説明する木村さん

日本損害保険協会の防災ツール

日本損害保険協会では、各種ハザードマップの理解促進ツールを作成しています。また、当協会では、このほかにも無料で活用できる防災教育ツールを多数用意しており、防災ポータルサイト「そんぽ防災Web」を通じて案内しておりますので、ぜひこちらも、ご活用ください。

●副読本「ハザードマップと一緒に読む本」

全国の市町村において住民向けに作成されている洪水ハザードマップおよび地震ハザードマップの理解を促すための副読本です。

この副読本は、自然災害への対策等について住民自ら考えてもらえるようにストーリー性を持たせることにより、洪水ハザードマップおよび地震ハザードマップのポイントが理解できるよう工夫してまとめています。

●チラシ「ハザードマップで自分のまちの危険を知ろう!(水災害・地震災害)」

自分が住むまちのハザードマップが検索できるサイトにアクセスできたり、ハザードマップを見てチェックするポイントを学んだりすることのできるチラシです。

「水災害編」と「地震災害編」の2種類のチラシを用意しており、災害ごとに命や家を守るためのポイントもまとめていますので、ぜひご活用ください。なお、「水災害編」の作成にあたっては、国土交通省に協力いただいています。

●防災ポータルサイト「そんぽ防災Web」

日本損害保険協会の防災ポータルサイトです。無料で活用できる防災教育ツールを多数掲載しています。
 
 

副読本「ハザードマップと一緒に読む本」
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