2020 年頭所感
会長 金杉 恭三

あけましておめでとうございます。
2020年を迎えるにあたり、年頭のご挨拶を申し上げます。

はじめに

 昨年は、一昨年に引き続き大規模な自然災害が多発し、各地で甚大な被害をもたらしたうえ、停電、断水など、長期に亘って国民生活に大きな影響を及ぼしました。こうした自然災害は、いわば常態化しており、損保業界としても従来までの取組みにとどまらない一段の対応強化が必要であると改めて認識した一年でした。  自然災害以外においても、高齢者が当事者となる痛ましい交通事故や、あおり運転が社会問題化し、新たな課題と認識しました。  一方、我が国の経済については、消費増税や相次いだ大規模な自然災害の影響を受けつつも、緩やかに回復しております。米中の通商問題、英のEU離脱などの景気に対する懸念材料については、先行きの不透明感が薄らぐ兆しがありますが、引き続き注視する必要があります。  明るい話題としては、天皇陛下のご即位があり、令和時代の幕開けに日本中が祝賀ムードに包まれました。また、日本で初めてG20大阪サミットが開催されたほか、ラグビーワールドカップ2019日本大会では、日本代表が大活躍し、その勇敢な姿に国中が熱狂しました。  その余韻が残る中、本年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。この大会は言うまでもなく、世界のほとんどの国と地域が参加する世界最大のスポーツの祭典です。我が国が、開催国としての責務を全うし大会を大成功に導くことによって、世界の人々に元気や勇気を届けることだけでなく、同時に我が国の国民に自信と誇りをもたらすことを期待しております。さらに、この大会を好機として、国際社会に対し各地域の文化や魅力、強みである技術力を余すことなく披露し、地方創生・地域活性化、経済成長につなげ、新しい日本の創造を目指して欲しいと考えております。  現在、会員各社では、それぞれの特長に応じて創意工夫を凝らした経営を行っておりますが、近年の目覚ましい技術革新を受け、ICT技術やAIなどを活用した商品開発や業務効率化を進めるとともに、サイバーリスクなど先進技術の進展に伴い発生する新しいリスクへの対応も行ってまいります。  また、当協会では、「環境変化への迅速・的確な対応」、「お客さま視点での業務運営の推進」、「より強固で安定的な保険制度の確立」、「国際保険市場におけるさらなる役割の発揮」を4つの柱とした第8次中期基本計画を着実に推進しております。引き続き、我が国がさまざまな社会課題を乗り越え、持続的に発展できるよう、「安心かつ安全で持続可能な社会の実現」と「経済および国民生活の安定と向上」に貢献してまいります。

本年の主な取組み

 当協会は、第8次中期基本計画の初年度に掲げた、SDGs達成への貢献、Society5.0実現への貢献という2つの観点を踏まえつつ、昨年の就任時に重点課題として設定した「自然災害に対する取組み」、「高齢者・外国人向けの取組み」を着実に推進してまいります。

1.自然災害に対する取組み

 数十年に一度と言われる規模の自然災害が頻発するなど、業界としても大規模自然災害の多発を前提とした自然災害対策が求められています。このため、当協会は、新たにプロジェクトチームを組成し一連の災害で得られた経験や気づきを今後の自然災害への対応に活かすための検討を行ってまいります。加えて、消費者に対して、地域特性に応じた防災、減災の取組みを行うとともに、「自助」、「共助」、「公助」の3つを組合せた取組みの重要性について啓発活動を行ってまいります。

2.高齢者・外国人向けの取組み

(1)高齢者向けの取組み

 高齢者が当事者となる交通事故の防止のため、当協会は、高齢歩行者の外出時の交通安全や、高齢ドライバーの安全運転に関する啓発イベントを地方自治体や関係団体と連携して行ってまいります。さらに、事故防止や被害軽減の観点から安全運転サポート車の普及促進や、先進技術に関する正しい知識の習得に向けた取組みを行ってまいります。

(2)外国人向けの取組み

 自然災害等の非常時にも訪日外国人旅行者や在留外国人の皆さまが安心・安全に滞在できる環境を整備するため、当協会は、昨年リリースした災害時の情報提供サイトを、地方自治体や関係団体などと連携して周知してまいります。また、多言語化した交通事故防止啓発ツール等の提供を通じて、我が国の国際化の進展へ貢献してまいります。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の基本方針に「国民総参加による夢と希望を分かちあう大会の実現」という基本的な考えが示されております。我が国は、頻発する自然災害への対策、人口減少や超高齢社会への対応、外国人との共生社会の実現など、さまざまな課題に直面しています。しかし、我が国には世界に誇る技術力や勤勉で秩序を重んじる国民性など他国に誇る強みがあります。課題先進国であることを悲観することなく、我が国の将来に向けて、夢と希望を分かち合い、皆が一つになり課題を克服し、新しい社会を創りあげていくことができるものと確信しております。

 損保業界としましても、社会インフラの一つとして使命を果たし、我が国の社会や経済を下支えしてまいります。私自身も、「夢と希望を分かち合う」という言葉を胸に、業界のけん引役を果たしてまいります。引き続き、皆さまのご支援とご協力を宜しくお願いいたします。

 最後になりましたが、本年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

2020年 年頭所感

更新:2020.01.01

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