ぼうさい探検隊 実施スケジュール例(じっくり)

事前の準備

時間配分・進め方の例

小学校や団体全体で一連の教育行事として実施する場合などの参考にしてください。低学年と高学年が混成の「縦割り班」で、数ヶ月かけて実施している事例などもあります。
指導する方々の間で、活動の進み具合や参加児童の理解度に合わせて、カリキュラムを組んでいきましょう。また、インタビューを盛り込む場合は、インタビューされる側の方のお仕事などに支障が出ないよう、入念に打ち合わせを行なっておく必要があります。
可能であれば、まちなか探検は2回行うとさらに学習効果が高くなると思われます。1回目はチェックポイントの確認と気づき・発見のための探検、2回目は調べたことの検証や地域への要望などのための再確認というように、意味合いを変えて実施するのもよいでしょう。
「防災」「防犯」「交通安全」「そのほか」のテーマの中から、地域の実情に合わせたテーマを選択するとよいでしょう。1つのテーマを深く掘り下げるのもよいですし、活動を行なううちにテーマが徐々に増えていく場合もあると思われます。
チェックポイントの要素は、基本編・応用編のほか、可能な範囲で発展編も検討してみてください。ただし、テーマが複数にわたる場合は、応用編までにとどめておくほうがスムーズと思われます。

1)まちなか探検のルートを設定する

子どもの足で歩いて20~25分程度、距離にして1~1.5km程度のルートを、あらかじめ指導する大人が設定しておくとよいでしょう。(実際に歩くと、想定の2~3倍の時間がかかることが多いようです。)
通学路や小学校の周囲など、子どもたちが歩き慣れたルートを中心として、少しルートの範囲を広げてもよいでしょう。
子どもたちにチェックポイントを考えさせるところから始められれば最もよいのですが、実際はなかなか難しいことと思われます。参加児童の学年構成やテーマの数によっては、チェックポイントもあらかじめ大人が想定しておいたほうがよいでしょう。

2)街区地図を準備する

上記 1)で設定したルートが入った街区地図を用意しておきましょう。まちなか探検の時にはA4サイズ、マップ貼付用にA3サイズというように、2種類を準備しておきましょう。
まちなか探検のルートやチェックポイントをマーカー等で色付けしておくと、よりスムーズです。
複数チームで実施する場合には、チーム分けもあらかじめ行なっておくほうがよいでしょう。

3)まちなか探検の付添者を確保する

まちなか探検の際のサポート役として、1チームに大人2名以上が付き添うと安全です。1人は先導役、もう1人は最後尾について車両等への注意喚起をしてあげるとよいでしょう。
保護者の方々などに、まちなか探検のときだけでもよいので付き添ってもらえないかを相談してみましょう。できる限り、マップ作成のときにもサポートしてもらえるようお願いするとよいでしょう。

4)カメラ(使い捨てカメラ・デジタルカメラ・ポラロイドカメラなど)を準備する

使い捨てカメラなどを使用してもよいのですが、現像に時間と費用がかかったり、現像してくれるお店が遠方だったりといった場合もありますね。そのため、昨今はデジタルカメラでの撮影・プリントアウトで対応しているケースが多いようです。
実施する場合、意外に時間がかかるのが「撮った写真の現像・プリントアウト」です。小型ポラロイドカメラなどを各チームに1つずつ準備できれば、プリントアウトの手間が省けます。
デジタルカメラが各チーム1台ずつ確保できない場合は、大人の携帯電話についているカメラで子どもと一緒に撮り、メモリーカードからプリントアウトするといった方法もあります。いずれにせよ、まちなか探検の後にすぐに写真ができるよう、メモリーカードリーダーやプリンターなどの準備も考えておきましょう。

5)インタビューを盛り込む場合、相手先との調整を行なっておく

まちなか探検のルートのひとつに、インタビューを盛り込むと非常に学習効果が高くなります。ただし、お答えいただく方が丁寧にご対応いただくほど、思った以上にインタビューの時間がかかるものです。
お答えいただく方に大きな負担とならないよう、インタビューの日時・項目(2~3項目がよいでしょう)・所要時間(15~30分程度がよいでしょう)などをあらかじめ打ち合わせておくとよいでしょう。
場合によっては、インタビューを2回に分けて実施してさらに内容を掘り下げるというのも効果的です。可能な範囲でご協力いただけないか、交渉してみるのもよいですね。

6)作成するマップのおおまかなレイアウトをイメージしておく

マップ作成の時間は充分にとったつもりでも、実際に白紙の模造紙を前にすると、なかなか作業が進まないものです。指導する大人がある程度までレイアウト案を指示・提案してあげるとスムーズに進むことが多いようです。
※ただし、あまり大人が手を貸しすぎると、子どもたちが「お客さん」になってしまいます。あくまで主役は子どもたち、と考えながら実施しましょう。

おおまかなレイアウト案はこちら(PDF)

進め方

4週間にわたって、9:00~12:00の3時間ずつ、計12時間で実施するとした場合

【1週目】9:00~10:00

集合・チーム分け・事前学習・作戦会議(45~60分)

集合したらチームに分かれて、作戦会議を行ないます。以下のような内容を話し合いましょう。

まちなか探検のテーマ決め(子どもたちの意見も取り入れながら決めるのもよいでしょう。)
事前学習(地域特有の危険や安全、子どもたち自身の体験などについて、子どもと大人でまずは意見交換を行なうと、地域の状況がより詳しく想像できますね。)
まちなか探検のルートの確認(子どもたちの意見も取り入れながら決めるのもよいでしょう。)
各自の役割分担(地図を見ながら先導する児童・写真を撮る児童・チェックポイントでメモする児童、というように全員に何らかの役割を与え、責任感を持って実施させるようにしましょう。)
今後のスケジュールの説明(2週目から4週目にかけてどう進めるのかをあらかじめ伝えておくと、「今日やるべきことは何か」をしっかり考えるきっかけになりますね。)
チームの名前決め(チーム名をつけることで、子どもたちのやる気を高め、自主性を引き出す効果があります。)
インタビューを行なう場合は、インタビュアーとインタビュー項目の決定
まちなか探検で気をつけること(車に気をつける、走ったり勝手な行動をしない、仲良く実施する、などを全員で約束しておきましょう。)

10:00~11:30

まちなか探検(70~90分)

作戦会議の終わったチームから、大人と一緒にまちなか探検に出発します。
以下のような点に留意するとよいでしょう。

子どもたちの歩くペースにあわせて、無理に急がせないようにしましょう。時間が足りなくなったら、途中でルートを変える・引き返すなど、柔軟に対応してあげてください。
実際にインタビューを行なうと、想定時間の1.5~2倍になることも多いようです。少し余裕をもってスケジュールを考えておきましょう。
子どもたちが気づいたこと・思ったことがあれば、その場ですぐに褒めてあげると非常に効果的です。ほかの子どもたちのモチベーションも上がりますね。
気づいて欲しいことになかなか気づいてくれない場合もあると思いますが、怒ったり無理に覚えさせたりせず、子どもたちの自発的な気づきを引き出すようヒントを与え、辛抱強く待つようにしましょう。辛い思い出・嫌な記憶にならないように、留意してあげてください。
子どもたちの体力を考えて、特に夏場などは無理をさせないようにしましょう。

11:30~12:00

マップ作成(1)今日のまとめ

まちなか探検で気づいたことや思ったことを、忘れないように整理しておくとよいでしょう。
次回からのマップ作成に向けて、マップを「縦型」にするか「横型」にするか、地図はどこに貼るか、まずは大人がリードして決めてあげるとよいでしょう。
子どもたちの撮った写真は、次回までの間に現像またはプリントアウトしておくとよいでしょう。

【2週目】9:00~9:30

前回のおさらい(20~30分)

前回のまちなか探検で気づいたことなどを、もう一度思い出し確認しながらマップ作成に入ります。
レイアウトの部分がまだであれば、そこから始めるとよいでしょう。(レイアウト段階で時間がかかると、実作業に取り掛かれず、飽きてしまう子や遊び始めてしまう子が出てきます。)

9:30~11:30

マップ作成(2)(100~120分)

マップの方向と地図を貼る位置が決まったら、チーム名をどこに入れるか、参加児童の名前をどこに入れるかについて、大人がリードしてあげるとよいでしょう。(チーム名と自分の名前を書かせることで、「この活動に参加したという署名」が残り、責任感・一体感が生まれやすくなるようです。)
まちなか探検のときの役割分担をもとに、写真を貼る係・メモを付箋やマップに記入する係・タイトルを書く係というように、各作業を大人がリードして進めてあげましょう。このとき、大人は「指示は出すが手は動かさない」としたほうが、子どもたちにとっても創意工夫のアイデアを出しやすく、自分の作業を責任を持ってやろうという姿勢になりやすいようです。
インタビューなどを行なった場合は、ぜひその内容を盛り込みましょう。子どもたち一人ひとりの感想も、マップ内に記入するよう促してあげてください。
もし、途中で飽きてしまったり投げだしてしまう子どもがいたら、「あなたの役割はとても大事だから、一緒にやろうよ」と呼びかけるようにしましょう。頭ごなしに叱ったり、無視してしまうのではなく、子どもたちの責任感・やる気を引き出してチームに加えることに心を配るようにしてください。
子どもたちの素直な気づきや感想が入っていることが重要です。そのため、見た目の美しさや内容の正確さも大事ですが、大人の感覚を押し付け過ぎないようにしましょう。

11:30~12:00

まちなか探検(2)準備・今日のまとめ(20~30分)

マップがある程度できている場合は、さらに内容を深める意味で2回目のまちなか探検を行なうのも効果的です。どの場所をもう一度チェックしたいか、子どもたち自身に考えさせるとよいでしょう。
テーマを絞って実施している場合は、さらに詳しく調べる内容は何かを考えさせるとよいでしょう。また、新しいテーマが出てきたといった場合は、同じルートを新テーマの視点で探検するのもよいでしょう。

【3週目】9:00~9:30

前回のおさらい(20~30分)

前回のマップ作成などを振り返りながら、2回目のまちなか探検やさらなる調べ学習のための話し合いを行なうとよいでしょう。
マップ作成に重点を置く場合は、どういう点をさらに工夫すれば「相手に伝わるマップ」になるか、意見交換するとよいでしょう。

9:30~11:45

まちなか探検(2)調べ学習・マップ作成(2)の続きなど(100~120分)

子どもたちの理解度や意欲に合わせて、2回目のまちなか探検や図書館等での調べ学習、マップ作成作業の続きなどを行なっていきましょう。
まちなか探検やマップ作成について、留意すべき点などは同じです。これまでの入選作品集などを参考にしながら、「相手に伝わるマップ」「子どもたちの想いがつまったマップ」になるようサポートしてあげましょう。

11:30~12:00

今日のまとめ(10~15分)

マップがほぼ完成に近づいていれば、最終回は発表が中心となります。どんな順序で、誰がどこを発表するか、少し話し合っておくとよいでしょう。
マップが完成していない場合は、発表準備と合わせて次回の前半で仕上げられるよう、どの部分を誰が担当するか再確認しておくとよいですね。

【4週目】9:00~10:30

マップ仕上げ・発表準備(70~90分)

進行具合にもよりますが、作ったマップを「他の人に見てもらおう、気づいたことを伝えよう」という視点で仕上げていくと、さらに学習効果が高くなると思われます。
発表に備えて、プレゼンテーション練習を行なうのもよいでしょう。何に気づいたか・何を学んだか・どう思ったかといったことを各自が再確認するという意味もあります。

10:30~11:45

発表(60~75分)

できあがったマップをもとに、チームごとに発表します。1チームで実施した場合は、メンバー全員でマップを見ながら意見交換をするとよいでしょう。
以下のような点に留意してください。

気づきや感想を第三者に伝えることで、子どもたち自身の記憶にも残り、活動の充実感にもつながるという効果があります
発表の際には、1人だけが代表して話すより、各自の役割分担に応じて工夫したところなどをコメントする形式のほうがよいでしょう。
複数チームで実施した場合は、他のチームの発表をきちんと聞くということも非常に大事です。しっかりと聞く姿勢を持つよう、大人がリードしてあげてください。
発表だけでなく、質疑応答の時間もぜひ設けてください。他のチームの発表からも多くのことを学べるとともに、コミュニケーションの練習にもなります。
協力いただいた大人からも、意見や質問を発言してもらうとさらによいでしょう。

11:45~12:00

全体のまとめ(10~15分)

最後に、指導者や大人の方々から、参加した全員をねぎらうような言葉をかけてあげましょう。まちなか探検が充分に行なえなくても、たとえ立派なマップにならなくても、全員が楽しんで事故やケガがなく終了できていれば、それだけでも大成功です。
多くの方々にお世話になったことを再認識し、お互いにお礼を言って相手を称えあい、気持ちよく終わることができれば、参加した子どもと大人の双方にとって素晴らしい思い出となりますね。

防災教育情報に関するお問い合わせ先

一般社団法人 日本損害保険協会 業務企画部 啓発・教育・防災グループ

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更新:2016.11.22(業務企画部 啓発・教育・防災グループ)

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