ISSBのサステナビリティ開示に係る基準案について意見提出

 日本損害保険協会(会長:白川 儀一)は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が3月31日から7月29日にかけて市中協議を実施した、サステナビリティ・気候関連開示に係る基準案(S1基準案、S2基準案、およびS2基準案付録B)に対する意見を提出しました。

市中協議文書の概要

  • 「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(S1基準案)は、企業の一般目的財務報告の利用者が、企業価値に係る重大なサステナビリティ関連のリスク・機会の影響を評価できるようにするという観点から、IFRSサステナビリティ開示基準共通の開示要求を示している。
  • 「気候関連開示」(S2基準案)は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言の要素に基づいた、気候関連のリスク・機会に係る開示要求を示している。
  • 「産業別開示要求」(S2基準案付録B)は、産業別(11セクター・68産業)の定量的・定性的な指標の開示要求を示している。

損保協会意見の概要

  • 企業の気候関連のリスクと機会に関する財務情報を開示することに賛同するが、実務上開示が不可のものについては、定性的な情報での代替や推計値による開示を許可する等の救済措置や緩和要件があることが賛同の前提である。
  • 持続可能性に関する財務開示と財務諸表の同時開示は、これらの作業期間を短縮化するためのシステム対応や環境整備が完了しなければ実現不可能である。同時開示を実現するためには、本基準への準拠について、全ての要求事項の遵守ではなく、財務諸表との同時開示を可能とする簡易的な開示も認めるべきである。
  • 保険業の移行リスクの開示要件である投資先の温室効果ガス排出量は、投資先により開示状態に差があることや、今後企業の開示水準が向上することが考えられる。開示の継続性と正確性の観点から、計測できた資産区分や産業から開示するといった緩和・救済措置を認めるべきである。

ISSBのサステナビリティ開示に係る基準案に関する損保協会意見

 当協会は、国際的なサステナビリティ開示を巡る議論に積極的に参加しており、今後も市中協議等に際して本邦業界の意見を表明していきます。

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